【はじめての株式投資】第1回:これだけは絶対やったらダメなこと

証券会社に口座を開設した。NISAの口座も作った。最初にぶつかる大きな壁が「どんな銘柄を買ったらいいの?」だろう。上場会社は3500社もある。

街には投資指南の本が山積みで、様々な銘柄を紹介している。

ツイッターには情報が溢れている。銘柄の選び方や勝つため方法を、具体例を交えながら数回に分けて紹介して行こう。

第1回目は、身の回り情報で投資することの大切さと、絶対やってはダメなことだ。

夢はウォーレン・バフェット

株式投資を始めるなら、ウォーレン・バフェットというカリスマ投資家の名前だけは覚えておこう。

米株投資で8兆円を超える資産を作った、世界トップクラスの資産家だ。もとから大金持ちだったわけではない。

子供の頃からコーラ売りや新聞売りでお金を貯め、株式投資で巨大な資産を形成した。とくに増やしたのは50歳以降だ。まだまだ私たちにも可能性がある。

バフェットの投資手法は、割安株を下げている時に買い、長期で保有するといった単純なスタイルだ。

長期保有の複利効果で加速的に増やした。誰にでもマネが可能だ。自分で判らない株は買わないことをポリシーにしており、保有株は食品のクラフトハインツ、コカコーラ、IBMなど誰でも知っている株ばかり。

最近はアップル株を大量に買っている。決して特別な情報で資産を増やしたわけではない。

会社の変化が株価を変える フルグラでカルビーを買っていたら

銘柄選択の基本は、バフェットと同じだ。自分で判る株を買うことだけ。もうけるのには特別な情報などなくても大丈夫。怪しい情報に乗らないことだ。

たとえばサラリーマンなら、自分の会社の属する業界の動向には誰よりも詳しいだろう。ファッションが好きなら何が流行っているか知っているだろう。主婦だったらスーパーで売れているものが判っているだろう。

そういった身の回りで変化しているものに投資するのが基本中の基本だ。

たとえば、カルビー(2229)。「かっぱえびせん」と「ポテトチップス」の老舗だ。この会社の株は、「フルーツグラノーラ」のヒットで2011年から15年までで5倍になった。

「フルグラ」は、健康志向と気軽さが受け、ご飯、パンに次ぐ第3の朝食として新しい市場を開拓した。

本格的に売れ始めたのは2011年だった。当時30億円程度だったフルグラの売り上げは16年には300億円まで拡大した。

実際に、朝食としてのフルグラの魅力やスーパーでフルグラの棚が拡がってきたことを感じていた人は多いだろう。

カルビー株は、11年なら安値は500円、高値でも1000円以下で買えた。15年には5700円の高値をつけており、安値で買えば4年で10倍、高値で買っても5倍以上になった。

下記のカルビーの月足チャートを参照にしてほしい。

このような例はいくらでもある。

ユニクロのフリースが大ヒットしたのは1998年。

原宿店に大行列が出来た。その頃、ユニクロを経営しているファーストリテイリング(9983)の株は500円台だった。フリースの記録的ヒットで同社の株は01年には1万3000円台をつけ、3年で20倍以上になった。

その後、15年には6万円を超えており、100倍以上だ。

ユニクロやカルビーは特別ではない

カルビーやユニクロの例が特別だと思うかもしれない。安心するデータを紹介しよう。

3月9日時点で、1年前から株価が倍になっている銘柄は約190銘柄もある。

3年前からだと約490銘柄、5年前だと約1300銘柄もある。上場銘柄が約3500なので3社に1社が5年で倍になっており、20社に1社は1年で倍になっている。

これは決して、安値で買って高値で売った場合のタラレバの話でなく、1年、3年、5年に買って放っておいた場合のパフォーマンスだ。安値と高値を比較すればもっと銘柄数が増えるだろう。

株は簡単に倍になる銘柄が思ったよりたくさんある。自分の身の回りでおこった変化を感じた投資をすればその確率は高まるだろう。

これだけは絶対やったらダメ

株式投資は、仕組みを理解し、銘柄の選び方など基本的なことを学べば決して難しいことではないことが判ってもらえただろう。

はじめての投資ではこれだけはやったらダメなことを教えよう。

自分で理解できない株を買う

損する人の大半は、カリスマトレーダーが上がると言ったからとか、本で推奨していたからとかの理由で買っている人が多い。

人から教えてもらった銘柄で儲けたとしても自分の経験にはならない。

株式投資は経験がものをいう。自分で理解できる株を買うことからはじめよう。それなら仮に失敗しても財産になる。

イナゴになる

株式市場で、出来高が膨らんだ銘柄に飛びついたり、ツイッターで有名トレーダーがつぶやいた銘柄に群がる人達をイナゴという。

確かに、簡単に儲かることも多いが、それ以上に損をかかえて塩漬けになってしまうことが多いのが現実だ。

決してみんなが飛びついているような銘柄に参戦しないことだ。 それは博打性が高すぎる。

デイトレを目指す

慣れないうちに、デイトレーダーのまねごとをしてはいけない。

優秀なデイトレーダーは、経験も知識も勉強量でもはるかに上だ。その人達とゼロサムゲームの戦いをしても勝てるわけがない。

株式市場には静かに長期にわたって上がる株がいくらでもある。 そういった株を探す喜びを感じよう。

最後に

次回は、株式投資で重要なディシプリン(規律)について具体例をもって紹介する予定だ。

著者:平田 和生
平田 和生
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。