2017年4月から貯蓄性のある学資保険・終身保険・個人年金の予定利率が引き下げられ、今まで安定系の資産形成方法のひとつとして人気のあった円建て生命保険も魅力がさがってきたようです。
そこで注目されているのが、外貨建ての保険。FPが選ぶならどんなものがいいのかランキング形式でご紹介します。
外貨建て個人年金保険とは
個人年金保険とは、主に老後資金を貯める目的で保険料を積み立てる保険です。
条件を満たすと生命保険料控除の対象となり、税金の優遇がうけられます。
控除の対象の有無を問わず老後資金形成を目的とできる保険が個人年金保険で、そのうち外貨建てで運用されるものが「外貨建て個人年金保険」です。
では、具体的にどこの保険会社のどの商品がよいのでしょうか?
マニュライフ生命 「こだわり個人年金保険」
一般的な円建て個人年金のように円で保険料を支払い、設定した年齢で年金を受け取る保険です。
条件を満たせば保険料控除の対象にできます。
大きな特徴は、保険料を10年支払い後「払込停止」や「再開」ができることです。
例えば、新婚当初30歳で老後資金を貯めようとこの商品に加入したあと、すぐ子供を授かり子供が高校生になる16年後学費がかかり自分の老後貯金をしている場合ではないという状況になった場合、いったんこの保険の積み立てをストップすることができるのです。
そして、大学を卒業させた23歳年後にこの保険積立を再開することができるという仕組みです。
もしくは積立を再開せずに、「払済」にしてそのままドル資金として運用しておくことも可能で、人生の様々な局面に柔軟に対応させることができます。
また、利率は毎月変動ですが最低保証が1.5%あります。
毎月変動なので、情勢にあわせて利率変動がされつつ最低保証もあるということです。
柔軟性にすぐれた外貨建て年金といえるでしょう。
外貨を一般の銀行に預け入れる際の為替手数料は米ドルの場合預入れに1円、受取りに1円で往復2円ですが、マニュライフ生命は預入れに50銭(=0.5円)受取り時1銭(=0.01円で往復51銭(=0.51円)ととても安いことも特徴です。
ジブラルタ生命 「未来オーライ」
こちらの商品は一時払いでまとまった保険料を支払い、預け入れた月の利率で運用されるものです。
例えば、44歳男性が100万円一時払い(2017年4月24日ジブラルタ生命設定レート1ドル=110.46円)すると9053.05ドル預け入れることになります。
これが10年後10496.09ドルの年金原資となりドルベースで115.93%になります。
気になるのがこのドルを円で受け取る場合の損益分岐レートですが、95.28円です。
年金の受け取りは円だけではなくドルでも受け取りが可能ですので、もし10年後これより円高だった場合はドルのまま受け取るという選択もできます。
しかし、保険料の支払いが一時払いにつき生命保険料控除の対象にはなりません。
また、為替手数料はマニュライフ生命と同じく預入れに50銭、受取り時1銭で往復51銭です。
一般銀行との往復手数料の差は1.49円となり、先ほどの例の9053.05米ドルを預入れて円で受け取るという往復の手数料で考えると1万3489円ということです。
一時払いの実額で計算すると外貨での運用で手数料は重要であることがわかります。
三井生命「ドリームフライト」
マニュライフ生命「こだわり個人年金」と仕組みは似ており、生命保険料控除の対象にもなります。
この「ドリームフライト」のよさは、利率変動ですが最低保証利率が2.0%と高いことです。
しかし、利率変更のタイミングは10年ごとで機会は少ないといえます。
その10年の間に利率がよい時期があった場合そのメリットは享受できません。
為替手数料は預入れ・受取りともに0.25円で往復0.5円です。
日本生命「デュアルドリーム」
目標設定型年金ともいえる商品です。
最低100万円から預入れ、据置期間10年か20年で設定します。
特徴は加入時に決めておいた105%から200%までの目標値に円建て換算で到達したら自動的に円換算して年金として確保され、据置期間を待たずに受け取ることも可能です。
目標値は営業日毎に日本生命が判断してくれるので、自分で為替などを気にすることがない安心感があると人気があります。
豪ドルか米ドルを選択でき、死亡時に預入れ保険料そのままの額を受取ることができる特約もあります。
為替手数料は預入れ・受取りともに0.5円で往復1.0円です。
第一フロンティア生命「プレミアジャンプ3」
「デュアルドリーム」と同じ仕組みですが、運用期間を5年・10年から選択します。
特徴は5年もので外貨保険では珍しいニュージーランドドルを選択できることです。
5年ものの積立利率は、豪ドルは1.04%・NZドルは1.36%、10年ものは豪ドル1.71%・米ドルは1.36%です。(2017年4月24日現在)
為替手数料は預入れ・受取りともに0.5円で往復1.0円です。
最後に
今回5つの保険をご紹介しましたが、誰にとってもこれが一番というものはありません。
外貨建て個人年金を選択すべきかどうかは、全体的な資産の残高、外貨資産の有無、商品の割合、リスクの許容度、将来受け取ることができる年金額や退職金など人によって様々です。
単に利率や商品名だけでなく将来設計や資産全体のバランスをふまえて、自分にあう預け先を考えていきましょう。
- 著者:稲村 優貴子
- 大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆業務を行い、テレビ・新聞・雑誌などのメディアでも活躍中。FP Cafe登録パートナー