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5GはIoTを支えるキーテクノロジーの一つ
「5G」は現在の携帯で主流の移動通信システム「4G」の次世代通信規格。現在の1000倍の大容量、ピークデータレート10Gbps以上、低遅延性、超多数端末の同時接続に加え、低コスト、省電力が求められている。(NTTドコモのサイトより)
すべてのものがインターネットにつながるIoT時代には新しいインフラが必要で第4次産業革命(インダストリアル4.0)とも言われる。それをささえる通信技術が5Gだ。IoT、自動運転、AI、AR/VR、ドローンといった次世代テクノロジーだけでなく、遠隔医療、教育、農業も5Gで変わるだろう。産業革命を制するために企業を超えて国家間の競争となりつつあり、早期実現するためには前倒しの時間軸が必要で、ターゲットは19年になりつつある。2月には「5G標準化の早期策定に関する共同提案」に22社が合意した。
共同提案に合意したのは、日本からは、NTTドコモ(9437)とKDDI(9433)。米国からは、AT&T、インテル、クアルコム、スプリント(ソフトバンク系)。欧州からは、ブリティッシュテレコム、ドイツテレコム、ボーダフォン、エリクソン、テレコム・イタリア・モービレ、テリアカンパニー、スイスコム。中国からは中国ファーウェイ、VIVO、ZTE。韓国からは、SKテレコム、コリアテレコム、LGエレクトロニクス、LGユープラス。その他の地域では、エジプト・エティサラート、豪テルストラ。世界の携帯キャリアは5Gの商用化に向け、ネットワーク機器ベンダーとの実証実験を本格化し始めた。
5G関連銘柄には大きなポテンシャル
5Gは無線インタフェーステクノロジーとして今までの延長なだけでなく、新しいネットワークアーキテクチャとしての期待が大きい。解りやすく言うと、対象市場はスマホが中心で世界人口の70億台の市場だった。5Gだと既存の通信網を置き換える可能性があるだけでなく、ネットに接続するデバイス数が驚異的に増大する。15年にインターネットにつながるデバイスは154億個だったのが2020年には304億個に増えるとの予想がある(総務省・IHSテクノロジー)。さらに500億台といった将来の予想もある。5GをベースにIoTが広まり、すべてのデバイスにフィルターやプログラマブルコントローラなどが組み込まれることは間違いなさそうだ。海外では、インテル、クアルコム、ノキア、エリクソン、ベライゾン、スカイワークスあたりを5G関連銘柄と呼んでいる。
1)キャリア、IoT関連
ソフトバンク(9984)
携帯キャリアとして日本でソフトバンク、アメリカでスプリントを持ち、昨年IoT半導体設計の英ARM社を3兆円で買収した。5G関連としても注目度は高い。5G向け候補周波数である3周波数帯で実験をはじめており、2020年頃の商用サービス開始を目指している。5Gの有力な要素技術の一つである「Massive MIMO」の商用サービスを世界で初めて提供した。
2)通信用計測器
アンリツ(6754)
5G/IoTでは無線通信と有線通信の融合が進み、アンリツはその二つの技術を得意としており、5Gで様々なソリューションを提供出来る。すでに、スマートホーム関連、自動車の無線コネクティビティや運転支援システムなどのコネクテッドカー関連、IoT/M2M試験市場の研究開発向け機器、IoTメーカーの開発および試験ニーズに応える機器などの開発を手掛けている。アジアの売上高比率が3割を占め、その多くが中国向け。中国の5G投資の前倒しの恩恵もありそうだ。
3)フィルター関連
村田製作所(6751)
携帯電話には妨害派を遮断する必要があり、信号派のみを通すフィルターが多用されている。このRFフィルターやSAWフィルターなどの大手が村田製作所だ。村田は5Gで結ばれるすべてのデバイスに村田の製品を組み込むことを目標にして、今での部品のモジュール化を進めている。 ライバルは、スカイワークスなどの米系メーカーに。TDK(6772)は米通信機器大手のクアルコムとフィルター分野で提携した。
4)シーケンサ関連
三菱電(6503)
シーケンサ、プログラマブルコントローラー(PLC)の大手。5G/IoTにつながれた機器のスイッチやセンサをON/OFF制御するコントローラやセンサーが必要だ。三菱電機はその大手。いままでパソコンで行っていたデータの解析などをシーケンサで行う。オムロン(6645)、富士電(6504)、横河電(6841)、キーエンス(6861)などもPLC大手。
5)サイバーセキュリティ関連
ラック(3857):サイバーセキュリティ
オプティム(3694):サイバーセキュリティ
ブロードバンドタワー(3776):サイバーセキュリティ
5Gにはサイバーセキュリティ技術もかかせない。IoT製品、自動運転車がハッキングされれば大問題となるため、セキュリティの向上は避けて通れない。数多くの企業が参入しているが、セキュリティ対策の先駆者でデータセンターにも着手しているラックや、IoTへの不正遠隔操作防止に力を入れているオプティムなどが注目される。
6)5Gネットワーク関連デバイス全般:
サイバーコム(3852)
通信ソフトウェア開発において、国内、海外ともに通信キャリア向けシステム案件に実績。制御ソフトウェア開発では、ECU関連やカーナビゲーション関連等の車載システムに加え複合機の開発案件を手掛けている。
アルチザネットワークス(6778)
4GのLTE テスターで高マーケットシェアを誇る。さらにIoTをLTE で実現するため新技術にも着実に対応している。今までのLTEユーザーのため5Gテスターの開発をすすめている。また、データセンター向けの製品ラインを積極的に強化しており、IoTでもメリットがありそうだ。
理経(8226)
スペインのEMITE社、ネットウエルと「8×8 MIMOアナライザー」のサービス及びメンテナンス契約を締結。現在無線通信技術では、送信機と受信機で複数のアンテナを使いMIMOという技術で高速化することが一般的。今後主流となる5Gにも対応している製品で、今後多くの通信機器関連メーカーからの需要が見込まれる。ネットウェルはパナソニックから「8×8 MIMOアナライザー」を受注した。
構造計画研究所(4748)
構造物の設計業務が本業であるが、東京オリンピックめざしスマートロックやスマートハウスなど宿泊施設の分野や情報通信分野で積極的に5Gに取り組んでいる。IoTでキーメーカーとなる米半導体のNVIDIAとも提携実績がある。
ネクストジェン(3842)
通信事業者向けソリューションを手掛けている。5Gの制御システム開発が主力。
セコム(9735)
KDDIと5Gを使った警備サービスの実験を始める。5Gで監視画像データを送りドローンなどを使った警備サービスも可能だという。
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