Topページ > 投資・資産運用 > 【連載】第3回:投資で損をする人の心理学を学ぼう
公開日:2017年3月5日

私たちの日常を見渡すとたくさんの情報やモノで溢れています。
投資においても同じです。多くの選択肢の中から選ぶ判断をするために、多少なりとも迷ってしまうことは珍しいことではありません。
迷ったすえに、面倒くさく「もういいや!や~めた!」となることもあるでしょう。
このように考えることをやめてしまうことで、損につながることがあります。
今回は、先送りしてしまう心理に導く「決定麻痺(マヒ)」と「現状維持バイアス」をご紹介します。

決定麻痺

多くの提案されると人は悩む

決定麻痺とは、人は選択肢が増えれば増えるほど何を選ぶべきか悩んでしまい、最終的には何も選ばない決定をする傾向になる心理のことを言います。 米国の心理学者がCDプレーヤーを選択肢にしてある実験を行っています。(参照:角田康夫著『行動ファイナンス 金融市場と投資家心理パズル』きんざい、平成18年) 実験では2つの質問が示されています。

あなたはCDプレーヤーを購入するつもりでお店に入りました。今日一日限りの安売りセールをしています。あなたはどうしますか?

  • 普及機のSONYのプレーヤーが 1万円、いつもより価格が安い
  • 普及機のSONYのプレーヤーが1万円で、高級機のaiwaのプレーヤーが1万7000円で、どちらもいつもより価格が安い

※金額は日本円にしてイメージがつくように変更しています。

実験結果は、選択肢がSONYだけの①の場合には購入するが66%、他の商品を見比べるため「購入を待つ」が34%だったのに対し、②の値段は高いけど機能は良い高級機の選択肢が加わると「購入を待つ」割合は46%に増えました。②の購入者の内訳はSONY27%、aiwa27%です。 選択肢が増えると、どうも決定力が鈍る傾向がありそうです。

投資についても同じ傾向があり、たくさんの金融商品の中からどう選べばいいのか分からずに、結局何も選べなかったという結果となることはよくあることです。決定麻痺による選択の先送りは、投資機会を逃してしまい、そして将来の収益も逃してしまう可能性がある行動と言えます。

決定麻痺の対処法

決定麻痺は、ハズレを掴んで、後で後悔したくない気持ちが働いた時に起こりがちです。また、多くの選択肢の中から選ぶ過程で、面倒になり考えることに疲れてしまった状態でも起こりがちです。対処方法としては、ついつい先延ばしにしようとしている自分を感じたら「先延ばしにしようとしているのは、決定麻痺の仕業かも?」と客観的に心の動きを観察し、決定をしていくという姿勢が大切です。

現状維持バイアス

日常に存在する変えたくない気持ち

第1回の「プロスペクト理論」でもお伝えしましたが、人は損を嫌う生き物です。人は損を嫌う生き物ですから、外れた時のダメージは当たった時の喜びよりも、より強く感じます。現状維持バイアスとは、「プロスペクト理論」による「心の罠」も関係しますが、新しい試みをしようとする際に、その選択が得をする可能性も損をする可能性もあった場合、人は現状のままいることを選択する傾向になる心理のことを言います。

例えば、お仕事や家族との関係等、見直しても良いかもと思いながらも、なかなか踏み出せずに現状を維持していることってありますよね?これは日々の生活の中の現状維持バイアスと言えるでしょう。投資の例で言いますと、現状維持バイアスの影響を受けていると思われる状況には以下のようなものがあります。

  • 投資に興味があってもリスクを考えると踏み出せずにいる
  • 保有している投資信託や株式の売り時を逃したままになっている
  • 複数の銘柄の投資信託を購入し、リバランスをせずに放りっぱなしたままにしている

現状維持を選択している理由は、決定麻痺の時と同様、面倒という気持ちが働いてのこともあるでしょう。しかし前述のような投資に関する現状維持の行動は、将来の収益を逃してしまうこともあるかもしれませんし、運用効率を良くするチャンスをみすみす放棄している判断とも言えます。知らず知らずのうちに現状維持バイアスという「心の罠」にかかっているということです

現状維持バイアスの対処法

現状維持することが必ずしも悪いことだとは言えませんが、やはり少しの勇気をもって変化を取り入れていくことも未来にとっては必要です。投資判断の際にも、現状維持バイアスという心の癖を掴むことから取り組み始めるといいでしょう。

どうしても、現状維持バイアスにかかりそうな性格だと心配な場合には、その時々の心理状態に左右されないような投資の仕組みづくりを作ることを検討してみるといいでしょう。例えば、その時々の気分で売買せず、10年以上の長期運用できる資金で、定期的にさらには事務的に、淡々とリバランスを行っていくという投資管理をする。また市場が上昇局面、下降局面でも事務的にこちらも淡々と購入してゆく毎月の積立投資していく、他にも10%とか20%下がれば絶対に売却をするというように損切ルールを作っておくという原則を自分の中に作っておくことで、現状維持バイアスを避けることができるようになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?損をしたくない気持ち、過去の経験則から判断してしまうこと、面倒になる気持ち等々の投資判断に影響を及ぼす「心の罠」を紹介してきましたが、これらの気持ちを克服してゆくのは、実際はとても難しいです。

相談先を選択する際に注意は必要ですが、ついつい陥ってしまう「心の罠」にかからないために、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのも一手です。そのときもポイントは、金融機関(特に、投資商品をサービスとして提供している金融機関)に属していない「完全に中立的」な立場の専門家を選ぶことであり、完全に中立な立ち位置の専門家にアドバイスを受けることで今まで挙げてきた損する心理を避ける可能性を増やすことができるのです。

【連載】
第1回:「プロスペクト理論」と「アンカリング効果の罠」
第2回:「メンタルアカウンティング」と「サンクコスト」

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