Topページ > 投資・資産運用 > 【連載】第2回:投資で損をする人の心理学を学ぼう
公開日:2017年3月1日
更新日:2017年3月5日

投資判断をする際に、私たちを不合理な判断へと導こうとする「心の罠」!
前回は、損を嫌うがゆえに損をしてしまう「プロスペクト理論」や、過去の経験則で物事を判断してしまうがゆえに損をしてしまう「アンカリング効果」から、私たちが持っている投資判断時の心の悪癖を確認しました。
今回、ご紹介する「心の罠」は「メンタルアカウンティング」と「サンク・コスト」です。

メンタルアカウンティング(心の会計)

メンタルアカウンティングとは、お金の入手方法、保管場所、使い方等によって、心の中でお金を分類し、扱い方を変えてしまう心理のことを言います。例えば、競馬で勝って、まとまったお小遣いが入ったとします。仮に30万円としましょう。このような棚ぼた的な臨時収入は、ぱ~っと派手に使ってしまう傾向があります。

どうでしょう?心当たりありませんか?

一方、毎月の給与収入が30万円としてイメージしてみましょう。日々頑張って働いた結果の30万円です。日々の生活のためや、将来のために残しておくためにと、皆さん、それぞれ大切に使い道を考えて管理していますよね。

同じ30万円にも関わらず、このように扱い方が変わってしまうのは、知らず知らずのうちに、棚ぼたのお金と頑張って稼いだお金を頭の中で「分類」してしまっているからです。

棚ぼたのお金も、大切に置いておくと将来に役立てられるかもしれないのに、ついつい使ってしまう。「心の罠」にかかってしまっていると言えます。

メンタルアカウンティングは自己規制に使える

とはいえ、メンタルアカウンティングは「心の罠」になるばかりではありません。

使いようによっては、将来の資産形成に上手く活用することができます。すでに無意識のうちに使っている方もたくさんいらっしゃることでしょう。

貯蓄と借金の併用

例えば、子どもの貯蓄は低金利の現状下でも、定期預金やこども保険で手を付けずに確実に貯めているとします。しかし、一方で車を買うために、少々高い金利負担を受け入れローンを利用しているかもしれせん。合理的に考えると、今、手元にある教育準備資金を車の支払にあて、利息負担をできるだけ減らす行動がよいはずです。

では、教育資金に手を付けずにローンを組んで車を購入することが非効率的で、ダメな行動かというと、そうとも言い切れません。教育資金は、子どもが大学進学等の一定の時期に確実に準備しておきたいものです。教育資金に手を付けずにローンを組んで車を購入する行為は、「メンタルアカウンティング」を利用して自制心を持つために敢えて選んでいます。

ドル・コスト平均法

例えば、これから老後資金を準備する必要がある若い世代には、ドル・コスト平均法を使った将来の資金作りに「メンタルアカウンティング」は利用できます。一定の毎月の積立額を決定し、この積立資金は老後資金と、しっかりと「分類」します。しっかりと「分類」することで自制心を作ることができ、他の用途に使う気持ちを抑えられる効果が期待できます。そして、ドル・コスト平均法を使い、上がっても、下がっても、将来のために毎月一定額積立投資を継続するルールを作ります。

第1回の「プロスペクト理論」でもお話ししましたが、投資は当てようとしても、思い通りにいくものではありません。感情に左右されない投資ルール作りが大切になります。

サンク・コスト(つぎ込んだ費用)効果

サンク・コスト効果とは人が行動する際につぎ込んだ費用によって、その後の判断に影響を与えることを言います。 ニュース等でも頻繁に話題となる公共工事を例にあげてみましょう。公共工事の見直しが議論される際、「これまで、既に何十億円の費用がかかっているのだから中止はもったいない。継続すべきだ!」という声があがるのはサンク・コスト効果によるものと言えます。

投資についても、過去のつぎ込んだ費用に縛られ損につながることもあります。例えば、含み損を抱えた投資家をイメージしてみましょう。サンク・コスト効果の影響を受けやすい投資家は、投資でマイナスになっている部分を、これまでつぎ込んだ費用と考えます。つぎ込んだ費用をもったいないと捉えていますので、売却の判断ができず時間だけが経過し、さらに損失が膨み、取り返しのつかない状態になってしまいがちです。つぎ込んだ費用には早々に見切りをつけて、新たな見込みある投資先に乗り換えていたら違った結果になるかもしれません。

サンク・コストの対処法

やはり見切りをつける判断力を持つことが必要です。過去の失敗となった判断にしがみついていては将来の利益も逃してしまうことになります。投資であるならば、損切ルールを作っておくことです。例えば10%、20%下がれば絶対に売却をするというように。比率ではなく、10万円、20万円という金額で設定することも効果があります。やってはいけないのは、損を取り返すために、リスクの高い投資に踏み込んでしまうことでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回も分かってはいるけど、悩ましい「心の悪癖」でしたね。何とか心の悪い癖を克服して、合理的投資判断にお役立ていただきたいとの思い込めてお届けさせていただきます。次回は最終回となりますが「決定麻痺」「現状維持のバイアス」を紹介します。

【連載】
第1回:「プロスペクト理論」と「アンカリング効果の罠」
第3回:「決定麻痺」と「現状維持のバイアス」

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