Topページ > 投資・資産運用 > 【連載】第1回:投資で損をする人の心理学を学ぼう
公開日:2017年2月26日
更新日:2017年3月5日

得をするつもりで将来を予測し「今はこれだ!」と合理的に判断したつもりが、逆の結果となり損をしてしまう…
自分は投資の才能がないのか?はたまた運がないのか?と愚痴りたくもなりますね。
実はこれ、投資判断の際、皆さんの心の中にある「心の罠」にかかり合理的判断ができていないからなんです。いったい私たちの心の中の何が、合理的投資判断を邪魔しているのか?
今回から3回に分け「心の罠」の正体を確認し、罠にかからない方法を探っていきます。

「プロスペクト理論」損を嫌うがゆえに損する行動に

「プロスペクト理論」とは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向があるという心理学理論です。ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらが「プロスペクト理論」に基づき、人は損を嫌うという心理が働くがゆえの行動傾向を示したものです。人は損をするのが嫌いな生き物で、物事を判断する際に「損失回避性」が働きます。

例えば、50%の確率で1万円もらえ、50%の確率で1万円を失うくじ引きがあったとします。皆さんならこのクジを引きますか?大抵の人は損することが怖いのでクジを引かないことを選びます。それは、人は損を嫌いますから、外れた時のダメージは当たった時の喜びよりもよりも大きいと判断しているからです。

前述の例は1万円でしたが、金額が大きいほどさらに「損失回避性」は強く働きます。例題のくじの額が1000万円になると、さらにクジを引く人は減るでしょうね。

トランプ相場に対する反応から学ぶ

投資を例にしますと、直近で分かりやすいのはトランプ相場に対する対応です。トランプ大統領が選出される前に、「トランプが大統領になると大変なことになる!大暴落になる!」と危機感を持った方の中には、選挙結果が出る前に投資資金の売却を決断され実行した人もいるでしょう。これは、トランプ大統領就任によって資産が減ることを嫌うことによる「損失回避」行動です。しかし、この行動は、選出後のトランプ相場による収益を逃す結果となりました。

一方、トランプ大統領選出後、トランプ相場で上昇局面となった時でも人は、負けを嫌った行動をとることがあります。少し上がってすぐに利益を確定してしまうような行動です。これは、さらなる収益を逃してしまう可能性につながる行動です。

「プロスペクト理論」に示される損を嫌う気持ちに任せて投資判断を行っていても、永遠に上がったり、下がったりする投資の波乗りをしているだけだったということにもなりかねません。

心の罠にはまらないようにするためにはどうすべきか

では「プロスペクト理論」による「心の罠」にはまり、投資の波にのまれないようするための対応はどうすればいいのでしょうか?人は、その時々の気分で判断しては「罠」にかかってしまう危険性があることを認識して、その時々で判断しない運用方針を立てることが有効です。

その時々の気分で売ったり買ったりせず、10年以上の長期運用できる資金で投資を行い、半年ごとや1年ごとといった定期的に、ただただ事務的に、淡々とリバランスを行っていくという投資管理方法はおススメです。あらかじめルールを決めて、淡々とこなすこと。

また、市場が上昇局面、下降局面でも機械的に購入してゆく毎月の積立投資も対処方法としてはおススメです。これは感情に左右されないように対応すること。要するに、「プロスペクト理論」に対処する方法は、当てにいかない運用方針ということになります。

アンカリング効果の罠

アンカリング効果とは、人が物事を判断する際に、自分の知っている事や、経験値に引きずられてしまうことを言います。自分の中にある物差しで、どうしても物事を判断してしまうということです。アンカリング効果も「心の罠」です。

人は少なからず過去の経験から何事も判断する生き物で、投資判断時も同じです。例えば、日本は失われた20数年を経験してきました。この間、物価は下落傾向、株価も下落傾向が続き、下がることに慣れてしまっています。アンカリング効果の例としては、これまでの経験値が「心の罠」となり、今後、物価は上がるはずがないから投資は必要ないと判断してしまったり、株式も上がりそうもないから、ズルズルと買い時を逃してしまったりしてしまうという行動です。

「アンカリング効果」の罠にかからないためには

では「アンカリング効果」の罠にかからないためにはどうすればよいのでしょうか?投資をする上では、人は自分の経験値の中で判断をしてしまう生き物であるということを、まず認識することから始めるということでしょう。次に、例えば専門家への相談、勉強会への参加等、自分以外の物差しを手に入れるための情報収集を行うことも有効です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?損をしたくない気持ちや、過去の経験則からの判断が投資の損を招いていると言われても、なかなか難しいですよね。しかし、今回、紹介した「プロスペクト理論」と「アンカリング効果」は投資判断時、どうしても陥ってしまう心の悪癖とも言えます。悪い癖を克服して、合理的投資判断にお役立ていただきたいとの思い込めてお届けさせていただきます。

次回は、「メンタルアカウンティング」「サンクコスト」を紹介します。

【連載】
第2回:「メンタルアカウンティング」とサンクコスト
第3回:「決定麻痺」と「現状維持のバイアス」

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