
今回のケース
45歳会社員Bさんの場合
家族構成: 45歳の妻(子供なし)
Bさんの年収1200万円(60歳まで)、妻のパート年収100万円
金融資産は3,000万円(預貯金500万円、投資2,500万円)、60歳時に1億円の目標
収入水準が高く、夫婦2人暮らしのBさんは毎月かなりの額を可処分所得として利用することができています。住宅については、今後の人口減少を踏まえ持ち家形式は一部の例外を除いて(数十年後に高く売れるとは考えにくく)資産にならないと考え、賃貸住宅に住み続けています。実際、同じ場所に数年住み続けると飽きてしまうこともあり、フットワーク軽くいられる賃貸の形式が向いているようです。
家賃も食費も結構な額がかかっていますが、収入も多いので毎年200~300万円を貯蓄や投資に回す余裕があります。60歳時に1億円の目標に向け、毎月20万円ずつ、年間240万円を投資に振り向けることにしました。また預貯金の500万円は、預金額に応じて他銀行への振込手数料が無料になることもあり、万が一にすぐ引き出せる流動性資金としてそのままにしておくことにしました。
目標とするリターンとポートフォリオ
投資資金が現在2500万円あり、毎年240万円を新たに拠出し、15年後に1億円にするには、どれくらいの平均リターンを目指せばよいのでしょうか?
前回のAさんと同じポートフォリオを組んだ場合、平均リターンが7.2%なので、15年後には1億3,200万円ほどになります。もう少しリスクを抑えても大丈夫なようです。計算すると、実際には年平均5%程度の利回りを出せれば達成できることがわかります。そこでBさんは平均リターンが5%となるポートフォリオを組むことにしました。
webサイト「わたしのインデックス」を利用し、最終的に以下のようなポートフォリオを組みました。
先進国株5%
日本債券55%
先進国債券10%
エマージング債(新興国の債券)20%
日本Reit 5%
先進国Reit 5%
この組み合わせの場合、過去20年間のデータでは
平均リターン4.9%、リスク6.1%、シャープレシオ0.8となります。
同じリターンでよりリスクの少ない配分を探す
同じリターンを目指すポートフォリオのうち、よりリスクの少ない組み合わせがないかどうかを先ほどのサイト「わたしのインデックス」を使って確認することができます。
資産配分ツール>みんなのポートフォリオ
において自分のポートフォリオの位置づけがわかります。
マップ上で、今回のポートフォリオはほぼ「効率的フロンティア※」に位置するポートフォリオであることが確認できました。
- 効率的フロンティアとは、同じリスク水準となる組み合わせの中で最もリターンが高くなるような(投資効率の高い)資産配分のことです。同じリターン水準の中で最もリスクを小さく抑える資産配分と言い換えることもできます。
前回のAさんのケース(平均リターン7.2%、リスク13.5%、シャープレシオ0.53)と比べ、投資効率の高いポートフォリオ(平均リターン4.9%、リスク6.1%、シャープレシオ0.8)となりました。これはBさんの目標リターンが5%程度とAさんよりも低く、Aさんほどリスクを取る必要がないから可能となるわけです。
リスクを抑える別の方法
また、同じ1億円の目標に対しさらにリスクを抑える方法もあります。
毎月の拠出金額を増やし、リスクの小さい資産の割合を増やしていく方法です。
Bさんの場合は毎月のキャッシュフロー(収支バランス)に余裕があるので、毎月の拠出額を24万円からもう少し増やし、リスクをさらに抑えたポートフォリオを組むことも可能です。
または最初は毎月24万円の拠出にして、60歳に近づくにつれてこの方法に少しずつ移行することも可能です。投下できる資金が多くなるほど、同じ目標金額に対してリスクを取る必要が少なくなるということです。
実際、Cさんの場合は60歳まであと15年なので、60歳時にまとまったお金が必要なのであればリスクをできるだけ抑えた方法を取ったほうがよいでしょう。60歳の年に評価額が大きくマイナスになっている可能性も十分あるからです。
一方で、1億円がその後の老後資金という位置づけであれば、単年度の変動はあまり気にする必要はありません。
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