Topページ > 投資・資産運用 > 【連載】(前編)富裕層に学ぶ、投資に対する基本的な哲学とは
更新日:2017年3月13日

一般的に、純金融資産1億円超の基準をクリアーした人たちを富裕層と呼びますが、国内の世帯数に占める割合は2%弱に過ぎません。私は、こうした富裕層の方々の資産運用・管理業務を行なっているという職業柄、富裕層になることは難しくとも、投資に対する考え方を富裕層に学ぶことは大変意義のあることだと思います。
何故なら、お金は実現したい夢や目標に向けた選択肢を広げる役割を担っている一方で、自分や家族の生活を守る手立てとなっており、ほとんどの人がお金に人生の大半を左右されているという現実があるからです。

富裕層は、投資資金に対する認識とリスクの取り方が違う

1億円超の純金融資産を築いた富裕層に共通した「投資に対する基本的な哲学」とは、どのようなものなのでしょうか。それは、今まで顧客と接してきた経験からすると、投資する際に自分が納得できる方針ということですが、富裕層とそれ以外の人たちとの違いは、投資資金として蓄積されるストックに対する認識とリスクの取り方にあると思われます。

ここで、例を挙げてご説明しましょう。資産の一部を富裕層のA氏は日本株に1億円投資しており、富裕層に属さないB氏は2,000万円、C氏は100万円を日本株に投資しているとします。過去の統計から算出した日本株の年平均の期待利益率が約5%なので、年間にA氏は500万円、B氏は100万円、C氏は5万円の利益が期待できます。

しかし、同時にリスク(期待利益からの価格変動率)が約22%あるので、良い時は約27%(5%+22%)の利益が期待できる一方、悪い時は17%(5%-22%)の損失の可能性があります。つまり、A氏は年間2,700万円の利益を得る可能性がある一方で、1,700万円の損失を被る可能性もあるということです。同様に、B氏は540万円の利益の一方で340万円の損失、C氏は27万円の利益の一方で17万円の損失の可能性があります。

上記の例のように、ここまでリスクを取る必要はありませんが、この例からも言えることがあります。それは3氏の期待収益率やリスクは同じでも、絶対額が大きく異なるということです。富裕層のA氏が、日本株で年500万円の不労所得を得ることが可能となるのは、仕事で稼いだフローのお金と、投資資金として蓄積されるストックのお金の違いを十分に認識しているからです。

そのうえで、フローのお金の一定割合を投資に向けたストックに回し、そこから新たなフローを生み出す、つまりは何らかの工夫を行なって、トータルの資金をうまく回して利益獲得を狙うという発想力があるのです。また同時に、富裕層は日本株の相場次第で年1,700万円の損失の可能性があることも十分認識しており、そうしたリスクを取る姿勢がなければ、それに見合った利益は得られないでしょう。

富裕層の考え方

ここで学ぶべきは「収入の一定割合を投資に回し、ストックのお金を増やす」の考え方です。富裕層は、不確実性が高いことが利益の源泉となることを理解しており、そのリスクを感覚ではなく上記のように定量化し、物事をシンプルにそして合理的に考えることで、柔軟な投資スタンスが維持できるのです。この結果、富裕層は運用で得られた不労所得で消費を賄えるため、退職金や貯蓄を少しずつ取り崩しながら生活することや、死ぬタイミングから逆算してお金を使っていくという発想はありません。

一般的に、人間が持つ損失回避姿勢が投資に消極的になりやすい要因とも言えますが、実はお金に執着するあまり、損失発生のリスクに精神的に耐えられないのではないでしょうか。ただ、少子高齢化で社会保障が低減していく中での今後の人生を考えた場合、今リスクを取らないことが、将来のリスクとなると言えなくもありません。こうした中で、富裕層の基本的な投資哲学から学び、実践するとすれば、「収入の一定割合を投資に回し、不労所得の源泉となるストックのお金を増やす」ことです。

例えば、2,000万円を10年間で貯める場合の毎月の積立金は、金利ゼロの場合は16.7万円ですが、金利4%で運用しながら貯めていけば13.6万円で済むため、稼いだお金から貯蓄に回した金額は1632万円なので、368万円の不労所得を得たことになります。また、2,000万円を20年間で貯める場合は、金利4%なら毎月の積立額は5.5万円で済み、20年間の不労所得も680万円に達すると同時に、将来の老後資金の手助けとなる一定規模のストックを作り出せるでしょう。

まとめ

この予測不能な社会情勢の中において、普遍的な価値として「収入の一定割合を投資に回し、ストックのお金を増やす」という意識を普段から身につけ、リスクだけに囚われず一方で安易な考え方での投資(投機)に流されない、自分なりのお金に対する哲学を持つことが大事だと考えます。

(続きはこちら)(後編)氾濫する情報に惑わされない、投資に対する基本の考え方

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