Topページ > 投資・資産運用 > 【はじめての株式投資】8回目:スクリーニングができれば銘柄ピックは簡単
公開日:2017年6月12日

銘柄ピックアップは「株式投資脳」があれば、身の回りにあるヒントで簡単にできることを前回説明した。銘柄選択の「センス」は株式投資で一番大切なので是非磨きをかけてほしい。ただ、身の回りだけでは限界もある。最初のアプローチとしてスクリーニングを積極的に活用しよう。プロのファンドマネージャーでも入り口はスクリーニング。約3500社ある上場企業から、業績、財務、株価指標などのデータから自分好みの投資対象を絞り込む作業だ。

成長株投資か割安株投資か?

スクリーニングといっても、成長株投資か割安株投資で重視するファクターは全然違う。成長株投資(グロース投資)は、今後の成長が見込める企業にベットする投資だ。大きな成長の可能性がポイントなので中小型株が多くなり、株価のボラティリティも高くなる。割安株投資(バリュー投資)は、過去のPERや配当利回りなどに対して割安な時にベットする投資だ。すでにポジションを確立している大型株が多くなり、株価の下値は限定的だ。図1を見ながら理解を深めよう。

スクリーニングである程度銘柄を絞った後にファンダメンタルズ分析には次の行程が待っている。

グロース株の場合は、業績のモメンタムやサプライズの可能性、新製品動向など将来会社を一変させる可能性のあるプロダクトやマネジメントを分析しなければならない。企業のHP、決算短信、有価証券報告書、決算時の説明資料、月次動向、開示資料に目を通す事から始めよう。独自の2期予想がある四季報も重宝する。

バリュー株の場合は、PERが安いといった誰にでも判る割安度だけでなく、長期的に安定したキャッシュフローを生み出す本質的な価値にあるかどうかを長期のバランスシートを分析して見極める能力が必用だ。長期の過去データが必須だ。

ここでは個人投資家が少ない資金で大化けを狙うのに効果的だと思われるグロース投資に絞って銘柄ピックアップ方法を教えよう。市場環境がいい時なら、グロース株はベータ値が高いので市場平均より大きなリターンが期待できる。

(図1)

 成長株分析に必用なファクター

成長株に一番大事なのはトップラインの伸び

中小型株で成長性が高い銘柄を選ぶなら一番大切なファクターは売上の伸びだ。成長初期の段階では、限界利益率がまだ低く利益が売上に付いてこないことがありがちだ。マーケティングのために広告費を投入、優秀な人を採用すると言った成長期に必用なコスト増要因も多い。仮に足下で利益は伸びていなくても、トップラインの売り上げの伸びが高ければ将来性は高いと判断できるだろう。

もっとも、企業業績は特需や合併効果で一時的に急増することがあるので、ある程度長期で売上が成長する企業をスクリーニングしたい。

営業利益にフォーカス

株価を見るのに大型株ならば最終利益やEPSを見るのも悪くはないが、成長企業の場合は必ず営業利益を見よう。営業利益は本業の利益を示すもので、為替差益、増資などの一時的なコスト、株式や土地の売却損益といった一時的な損益は含まれない。極端な話、営業利益が増益なら、為替差損や株式売却損で経常利益や最終利益が減益だって構わないのが成長企業の基本的な見方だ。

営業利益率も大事だ。営業利益率は本業の採算を表している。営業利益率が高いことはその会社のやっているビジネスの付加価値が高いことの証明である。付加価値が高ければ他社も参入しづらく、その会社のビジネスモデルの独自性が高くユニークなことの証明でもある。ただ営業利益率は業種によって差があるのでそのあたりは気をつけよう。ネット関係の会社の営業利益率には30ー40%を超える会社もあるが、小売、商社など業種においてはなかなか10%を超えることはない。絶対値の比較ではなく、同業他社との比較が有効だろう。

 

営業利益のモメンタムも大事だ。四半期毎の営業利益が前年同期比で減益になってスローダウンしていないかが重要だ。株価にとって一番いいのは決算の度に予想を上回るサプライズ決算を出し、利益率が改善してモメンタムが上がっていくことである。

 

実績より予想が大事

株式投資において重要なのは過去よりも未来だ。過去の業績がどれだけ良くたってそれは決算発表後にある程度は織り込まれてしまう。大事なのは今期の予想業績や来期の予想業績だ。PERというのは通常今期の予想PERを使うのはそのためだ。機関投資家によっては5年後の予想利益をアナリストに求める会社もあるくらいで、年金などの長期投資の機関投資家はそれくらい先のストーリーを意識している。

会社の業績予想は1期のみだ。しかもコンサバティブな予想が多い。東証があまり努力目標をかかげて下方修正しないように指導しているからだろう。最近はゲーム関係の会社などで、業績が振れやすいため、会社予想をレンジで出すとか未開示とかする会社も増えてきている。業績予想の確度を高めるためには、業績の進捗率やモメンタムをしっかり調べることや独自の2期予想が出ている四季報などを参考にすると効果的だろう。

今期の予想PERが仮に100倍で割高だったとしても、来期の利益が倍増ならPERは50倍に低下する。その次の期も利益倍増ならPERは25倍になる。グロース株ならPERは100倍だって割高だとは言えない。

赤字の会社が買われるのも、モメンタムが上がり、決算がサプライズとなり、将来黒字化する可能性がある場合が多い。任天堂のポケモンGOのような新商品の材料で株価が急騰するのは、その新商品が会社の業績を一変させる可能性があるからだ。業績は実績の水準よりは予想モメンタムが大事なのだ。

実際にスクリーニングをやってみよう

今まで話してきた条件を実際にどうやってスクリーニングに反映させたらいいのだろう。ここでは楽天証券の口座開設者が使えるスーパースクリーナーを使って実際にやってみよう。SBI証券などどこの証券会社でもほとんど同じようなスクリーニングが出来るはずだ。

一番重要なのはトップラインの売り上げの伸び。楽天の検索項目にある「過去3年平均売上高成長率」で10%以上が成長企業としては最低ラインであろうからこの条件を入れる。

「営業利益率」は高い方がいいのだが、業種による差もあるので、最低ラインとして20%以上にしてみる。たったこれだけの条件で東証1部、2部、マザーズ、ジャスダック市場をスクリーニングして出てきたのが下記34銘柄だ(図2)。いわば「ピカピカの好業績銘柄」だ。

参考のために、過去1年間のパフォーマンス、株価の位置を見るために25日移動平均からの乖離、時価総額を併記した。

その上でパフォーマンス順にソートしてある。簡単なスクリーニングだけだが、34社中4銘柄が1年間で2倍以上になっている。さらに7社が5割以上、8社が3割以上上げている。下げた銘柄は1銘柄もない。たったこれだけのスクリーニングでかなりの投資成果が出る可能性が高いのだ。

短期間で何倍にもなり、個人投資家にも大人気となったような銘柄のアカツキ、イグニスなどもリストに入っている。こういう銘柄は仕手のイメージもあるが、十分にファンダメンタルズでも拾われる企業だったのだ。

小型株が好きなら時価総額がたとえば100億円以下の銘柄を選べばいい。高値つかみをなるべくしないためには、移動平均線からの乖離が少なくて過熱していない銘柄を選べばいい。すべて基本のスクリーニングから調整していけばターゲットに近い銘柄をリストアップ出来るだろう。 いろいろ条件を変えてやってみよう。

リストのような「ピカピカの好業績銘柄」をBREXITやトランプショックのような相場の急落時に拾うというシンプルな投資方法も効果がありそうだ。

(図2)

楽天証券のデータは、予想に関しては会社予想の1期データを使っている。企業予想で大事なのは将来だとすると独自の2期予想がある四季報は重宝する。

図3)四季報での成長株スクリーニング
(条件:今来期予想売上成長率>20%、今来期予想営業利益成長率>10%、前期経常利益率>20% )

 

四季報の予想データを使ってスクリーニングしたのが(図3)だ。売上を今来期予想とも20%増以上、営業利益を今来期とも10%増以上、四季報のスクリーニング条件には営業利益率がないので経常利益率の実績が20%以上にした。今後2年で大変わりする可能性が高い企業のリストである。株式市場で人気化しているような銘柄が多いことに気がつくだろう。

あくまでスクリーニングは入り口だ。ここから、個別企業を調べることが大事だ。ホームページで会社の歴史、マネジメントの経営方針、会社のメインプロダクト、会社の新事業などはチェック出来る。四半期毎のモメンタムも決算短信や有価証券報告書で詳細をさかのぼることが出来る。決算説明に使ったスライドや開示資料、月次データなども閲覧可能だ。

トップアナリストになった気分で調べればパフォーマンスに直結するだろう。気になることや新製品などで詳しく知りたいことがあれば、会社のIRなどに電話すれば教えてくれるはずだ。会社の本質的価値が市場の評価より高い会社を探して投資すればテンバガーも決して夢じゃない。

【連載】
1回目:はじめて株式投資ーこれだけはやってはダメ
2回目:投資で一番大事なディシプリン(規律)
3回目:株式市場は美人コンテスト
4回目:まずは木よりも森をみること
5回目:テクニカルとファンダメンタルって?
6回目:デイトレか中長期かタイムフレームを意識しよう
7回目:自分の回りの変化に投資すれば大化け銘柄をキャッチできる
8回目:スクリーニングができれば銘柄ピックは簡単(今回)
9回目:決算はもっとも大事なイベント

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