Topページ > 投資・資産運用 > 【はじめての株式投資】第5回:テクニカルとファンダメンタルって?
更新日:2017年5月25日

はじめての株式投資の経過は順調だろうか?儲かるのは以外と簡単で相場を見るのが楽しくなる。損が膨らむと誰だって相場や口座を見たくなくなる。これまで伝えた秘伝の「べからず集」と「べき集」を心して投資していこう。次のステップは勝率と利幅を上げていくこと。自分のスタイルを固め「勝ちパターン」を作るための具体的なアプローチの仕方を紹介しよう。

常勝トレーダーになるための投資スタイル

勝率を上げることは大切だが、どんなカリスマトレーダーだって、どんな凄腕ファンドマネージャーだって全勝はあり得ない。どんないい銘柄でも、市場全体が下げれば損失を回避することは難しい。勝率はもちろん大事なのだが、値幅をしっかり取ることがさらに大事だ。だいたいは利益確定が早すぎる。3勝7敗だって勝ちが大きければトータルでプラスになる。ファンダメンタルズでもテクニカルでもいい、自分の投資スタイルを確定してぶれない投資をしていれば、きちっと値幅をとりやすい。それが「勝ちパターン」だ。

ファンダメンタルズ投資とテクニカル投資について具体的なはじめの一歩を伝授しよう。具体的なやりかたを指示するサイトは少ないので貴重なアドバイスだと思う。

ファンダメンタルズ投資のアプローチ方法

基本の考え方は、企業の利益が増えればそれだけ企業の価値が上がるというもの。銘柄の選定の基本はボトムアップ・アプローチだ。個別企業の業界環境や主力製品や原材料の動向などを把握し、将来の業績の動向をしっかり分析することからはじめる。業績を一変させる可能性のあるヒット商品や新規分野などの「材料」の調査も大切だ。

「はじめての株式投資 第1回」でカルビー(2229)やユニクロのファーストリテイリング(9983)を例にあげた。フルグラやフリースといった大ヒット商品で会社の業績が一変して株価が何倍にもなった。これがファンダメンタルズ投資の典型例だ。テクニカル投資がトレードの稚拙さが運用成績の結果に直結するのと違い、業績の変化をある程度長い時間軸でとらえるので、トレードが下手でもそれほど致命的にはならない。ファンダメンタル投資は、手間もかかり簡単ではないが、一度基礎を覚えてしまえば一生の財産になる。忙しい個人投資家にはこれを突き進めていくことをおすすめする。

ファンダメンタルズで投資銘柄をピックアップするには、1にも2にも業績の動向を読むことだ。決算短信を眺めることからはじめてみよう。興味を持っている銘柄、決算を上方修正した銘柄、通期の予想に対して進捗率の高い銘柄、またはスクリーニングで選んだ今期の予想売上や予想利益の伸びの高い銘柄などをいくつかピックアップする。企業のHPのIRサイトに行けば、過去の決算短信や決算発表に使ったスライドなどが簡単に手に入る。企業の中期経営計画や売れ筋商品や期待の新商品についても簡単に手に入ることが多い。

短信には、決算や収益のデータだけでなく、なぜ業績がいいのか?何が好調なのか?今後はどうなりそうなのかなどが文章でも書かれている、部門別の採算などもわかり情報の宝庫だ。業績をみるうえで大事なのは、四半期毎の業績のモメンタムと市場のコンセンサスに対してサプライズがあるかどうかだ。たとえば今の時期で言うと、締めが終わっている17年3月期の決算見込みよりも、今18年3月期に市場のフォーカスは向かいはじめている。今月末から始まる17年3月期の決算発表で実績が上振れても、18年3月期の会社の新予想のモメンタムが低下していたら、株式市場ではネガティブな反応になることが多い。仮に、今期が減益予想でもアナリストのコンセンサスを上回ればポジティブな反応になることが多い。モメンタムとサプライズがキーワード。アナリストのコンセンサス予想は、日経会社情報やヤフーファイナンスなどのウェブサイトでアクセスが可能だ。

トヨタとシャープに見るファンダメンタルズの大切さ

ここでトヨタの10年の4−6月期から四半期毎の営業利益率と株価の推移を比べてみよう(図1)。長期トレンドで、トヨタの営業利益率と株価の連動性が高いことが明らかだろう。トヨタの決算短信をみて、業績に影響の大きい出荷台数や為替の予想を丁寧に調べていけば株価の予想精度が高くなる。こういった分析がファンダメンタルズ分析の基本だ。 決して雰囲気でトレードしないことだ。

(図1)

モメンタムとサプライズが大事だという例を、昨年破綻したシャープ(6753)で見てみよう(図2)。シャープは、会社の存続の危機で16年8月安値は87円まで売られた。その後、台湾の鴻海精密傘下で再建に乗り出した。現在の株価は500円を超えてわずか8ヶ月で5倍以上になった。業績は16年3月期が大幅赤字だったのはもちろんだが、四半期ベースで16年7−9月期まで赤字が残った。それなのに株価は上昇した。これは、営業利益ベースでは7−9月に黒転し業績モメンタムが上がってきたこと、そして黒字になるペースが市場の予想より早くポジティブ・サプライズだったからだ。赤字でも業績が改善し、市場の予想を上回るのなら好感する。

(図2)

ファンダメンタルズ分析は、努力すればそれだけ報われる。四半期決算と開示の充実で、個人でプロのアナリスト並みのレベルに到達することも可能だと思っている。しっかり調べれば個人でもその銘柄のプロになれる。いくつかの銘柄のプロになれば、それが「勝ちパターン」そのものだ。

テクニカル分析のアプローチ方法

多くのトレーダーがテクニカルを重視したトレードをしている。ファンダメンタルズが手間がかかるのに対し、テクニカルはチャートをみることやデータのスクリーニングでアプローチがしやすいことがあるからだろう。

株価はファンダメンタルズのいい銘柄が必ず上がり、悪い銘柄が必ず下がるわけではない。したがってテクニカルでは、極端な話、長期の業績などどうでもいい、値動きこそ最大の材料だ。ファンダメンタルズが将来の変化を中心に分析するのに対し、テクニカルは過去の株価の値動きのパターンを分析することで株価の動きを予想する。

テクニカル投資は、株価のトレンドや方向性を重視するトレンド系と株価の大転換など大きな波を重視するオシレーター系がある。トレンド系には、移動平均、一目均衡表、ボリンジャーバンドなどがあり、中短期の投資にも使いやすく、ファンダメンタル投資と併せて使われることが非常に多い指標だ。順張りに使いやすいと言われる。ただ、ファンダメンタルズが大きく変わる企業や大材料が出た株などのオーバーシュートにはついて行きにくいとされている。オシレーター系には、MACD、RSI、ストキャスティクスなどがあり、長期の相場の転換などをとらえやすいと言われる。逆バリ指標とも言われる。小さなトレンドの変化ではだましが出やすい。

はじめの一歩は移動平均線(MA)だろう。チャートを見るときに、日足と週足の移動平均は必ず見るようにしよう。MAのゴールデンクロス(GC)やデッドクロス(DC)、移動平均線からの乖離などで株価のトレンドを見やすい。スイングトレードの基本ともなる。基本はGCで買い、DCで売りのサインなのだが、それ以外にもいろいろ応用出来る。とくに利食いや押し目買いのポイントを見つけるのに利用しやすい。うまくチャートをみれば、値幅が取れるトレンドに乗れる可能性が高くなる。ソニー(6758)で説明してみよう(図3)。

ソニーは2016年11月の2930円で下げトレンドが転換し、右上がりになっている。もし2930円で買えても3000円で利益確定してしまっては大きく値幅を取ることはできない。デイトレに徹するならそれもいいのだが、3000円割れで買った以上、出来れば今年の3700円まで持っているのが勝ちバターンだ。25日MAが75日MAをGCしたのは、16年12月、それ以降DCはしていないので基本はロングを示唆している。5日MA、25日MA、75日MAが順になっている一番の上げトレンドチャートだ。これで焦って売ってしまってはもったいない。上げトレンドは長ければ1年から2年続くことが多い。またソニーは25日MAからの乖離が5%を超えると短期的に頭打ちし、25日MAを割ったところで底打ちする癖があることが解るだろう。もしファンダメンタルズに変化がないのなら、25日MAを割り75日MAにもタッチした今は買い時と見ることもできる。テクニカルの基本は過去の分析でこうして自信をもってエントリーできることだ。そしてMAは見ている人も多いのでここで底打ちすれば参戦してくる人も多くなる。

すでにGCやDCした銘柄だけでなく、もうすぐGCやもうすぐDCの銘柄をリストアップしているサイトも多い、メールで送ってくれるようなサービスもあるので、是非メーリングリストに参加して、株価の検証をしてみよう。自分の好きな勝ちパターンを見つけられるかもしれない。

(図3)

ファンダメンタルズとテクニカルのいいこと取り

ファンダメンタルズとテクニカルのはじめの一歩だけ説明してきた。一番いいのはファンダメンタルズのいい銘柄をテクニカルで売り買いすることだ。コア銘柄としてファンダのいい銘柄を長期で複数単位保有しながら、スイングトレード的な要素を組み入れて、上値では吹き上がり、下値では買い戻すのが個人投資家向けにベストな手法だと推薦したい。

テクニカルは、相場のうねりを取りやすい。ただテクニカルは、本来過去のデータ分析であり、システムトレードなどに向く手法だ。それはコンピュータやアルゴにまかせておけばいい。しかも人気の株価のテクニカルファクターはいつも変化する。
株式投資の一番のダイナミズムは成長する企業の株主となり、企業とともに資産を拡大していくこと。テンバガー銘柄に乗るといったこと。こういう株式投資の夢はテクニカルでは難しいと個人的には思っている。

【連載】

5回目:テクニカルとファンダメンタルって?
8回目:スクリーニングができれば銘柄ピックは簡単
9回目:決算はもっとも大事なイベント

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