Topページ > 投資・資産運用 > 2016年開始のジュニアNISAは低人気…その理由と改善点に迫る
公開日:2017年4月24日

子どもの将来へ向けた資産形成として、ジュニアNISA(少額投資非課税制度)を思い出す人はどれくらいいるのでしょうか。ジュニアNISAは未成年者を対象に2016年4月に始まった制度ですが、成人向けの現行NISAと比べ加入件数が伸びず不人気だと聞きます。その理由は何か、改善点はどこにあるのか探ってみました。

ジュニアNISAの目的

ジュニアNISAは、日本国内に居住している0歳から19歳の未成年が開設できる口座です。投資上限の80万円から得た売却益や配当金を最長5年間非課税にできるところが魅力です。ただ子どもが資産運用の決断をするには無理があるので、原則として親や祖父母など親権者が子ども名義の口座で運用や管理を代理で行います。

ジュニアNISAの本来の目的は、子どもや孫の将来に向けた長期投資。そのため売却はできても、原則18歳まで払出しができません。これはデメリットのように感じますが、引き出せないことで確実に教育費として残しておけると考えればメリットともいえます。

もうひとつの目的は、親世代から若い世代への資産の移転です。ジュニアNISAのお金の出し手は祖父母にあたるシニア層になると予想されるので、贈与や相続対策としての利用が考えられます。ジュニアNISAは複数の金融機関で開設することはできず、口座を廃止しなければ金融機関の変更もできません。

ジュニアNISA NISA
少額投資非課税制度
対象者 日本に居住している
0歳から19歳の方
日本に居住している
20歳以上の方
非課税となる期間 5年間
(2016年~2023年)
5年間
(2014年~2023年)
投資対象品 ・個別株式
・上場投資信託(ETF)
・株式投資信託
・REIT  など
・個別株式
・上場投資信託(ETF)
・株式投資信託
・REIT  など
投資額の上限(年額) 80万円 120万円
投資額の上限(累計) 400万円(5年間) 600万円(5年間)
投資商品の解約 いつでも可
非課税枠の再利用は不可
いつでも可
非課税枠の再利用は不可
資金の引き出し 原則18歳までは制限あり
非課税枠の再利用は不可
いつでも可能
非課税枠の再利用は不可

2014年1月から始まった現行のNISAは、2016年12月末現在で口座開設数が1069万口座であるのに対し、ジュニアNISAは19万口座の開設となっています(金融庁発表 NISA・ジュニアNISA口座の開設・利用状況調査 平成28年12月31日時点(速報値))。学資保険の金利が低いことからジュニアNISAへの投資が増えるのではという読みに反して、口座開設数が伸びないのはどうしてでしょうか

低人気の理由1:制度の複雑さ

ひとつは口座開設のわずらわしさがあげられます。親や祖父母が本人に代わって口座開設をする場合、同居なら双方のマイナンバーと、家族全体が記載された住民票の提出が必要です。マイナンバーが無い場合には、通知カードと本人確認書類が必要になります。同居以外の場合は、親子関係を確認する戸籍謄本または戸籍全部事項証明書も提出しなければなりません。平日昼間に家族そろって金融機関に出向くのは現実的ではないし、書類を集めるだけでも大変な手間。手続きの改善が望まれます。

低人気の理由2:従来の教育資金の貯蓄商品よりも魅力度が低い

ジュニアNISAは株式や投資信託の売却益や配当金が非課税になるメリットがある一方、投資した金額より受け取る金額が少なくなる「元本割れ」のリスクがあります。進学する時期は決まっているので、必要な時に必要な金額を確定できないジュニアNISAの利用は慎重になるのも致し方ありません。

教育資金を貯めるのに、学資保険、定期積立がまだまだ主流であることがジュニアNISAの不人気な理由の一つです。理由1で挙げたようにジュニアNISAは制度の複雑さもありますが、学資保険以上にジュニアNISAが魅力的に映っていない点が大きいのでしょう。
学資保険は「保険」とついていることからもわかるように、「貯蓄」の機能の他に「保険」の機能もあります。事故やケガなどの保障や、保険の契約者、つまり親が万が一死亡した場合には毎月の払込みが免除され、予定通り学資金が受取れることが安心材料となっています。

また、リスクは苦手で確実に貯めていきたい場合には定期積立を利用する方が多いです。理由としては手軽に始められ、確実にお金が貯まるという点でしょう。

ただし、学資保険は途中解約すると元本割れのリスクがあります。また、学資保険も定期預金も、マイナス金利の影響もあり増やすことが難しくなっている状況にありますので、教育資金を貯めるのにベストな選択とは言えないでしょう。

低人気の理由3:18歳になる前までに払出すと遡って課税される

推薦入試で大学を受験した場合、高校三年の秋には合格が決まります。進学する意思があれば、10月~12月の間に入学金などを納めなければなりません。入学金を納入しなければ入学意思がないものと判断されてしまいます。

いったんジュニアNISA口座に入金すると、3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は、原則として払出しができません。これは一般的に子どもが進学や就職する時期を想定しているためですが、推薦入試の入学金には活用できないことも低人気の理由となっています。入学金は手元の資金で、ジュニアNISAで積み立てた資金は授業料に充てるなど工夫が必要になるでしょう。

子どもの成長は予想以上に早く、教育資金を貯める時間は長くはありません。児童手当を積み立てるなど預貯金を増やす工夫をしたうえで、足りない部分を補う手段のひとつ、さらに物価上昇に対するヘッジ手段としてジュニアNISA制度を上手く活用してください。

2017年春、生命保険料値上げ今年の春より、新たに生命保険に契約する人については値上げすると保険各社から発表がでました。今回、保険料の値上げされる要因は、保険会社が利益として見込む運用益が、この長期に...

【関連コラム】
NISAや確定拠出年金(iDeCo)、組み合わせで非課税メリットを最大限に享受しよう
NISAのメリットを最大限に活用する投資方法とは
「貯蓄から投資へ」現行NISAの課題と積立NISAに期待すべき点はなにか?
2017年NISAが変わる、長期資産運用への影響は?
投資をはじめるならNISAがお薦め、NISA制度のメリットは?