Topページ > 投資・資産運用 > 「貯蓄から投資へ」現行NISAの課題と積立NISAに期待すべき点はなにか?
更新日:2017年3月11日

2014年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)。2018年1月には少額からの積立・分散投資に適した「積立NISA」が新設される予定です。現行のNISAでも積み立て可能なのに、なぜ今「積立NISA」が新設されるのか。現行NISAの現状や課題をもとにまとめてみました。

NISAの現状と課題

日本証券業協会の「主要証券会社10社のNISA口座利用状況」によると、平成28年12月31日現在のNISA総口座数は約515万口座となり、平成27年12月31日現在のNISA総口座数約478万口座と比べ約7.7%増加しました。また実際に口座内で取引をしているNISA稼働口座数も、平成27年12月31日現在の53.1%から、平成28年12月31日現在には60.2%と増加し、初めて6割を超えています。

トランプ相場で株価が大きく動いたこともあり、年間120万円までの投資から生じた売買益や配当金・分配金が最長5年間非課税になるNISAを利用する個人投資家が増えた結果と言えるでしょう。ちなみに、同じく非課税メリットを活かして投資ができる確定拠出型年金では、株式の購入はできないようになっています。給与からの天引き等によりNISA口座を利用できる「職場積立NISA」を取り入れる企業もあり、NISAで投資を行う人のすそ野が少しずつ広がってきています。けれども金融庁の「NISA制度の効果検証結果」によると、NISA口座で積立をしている人の平均月額は、60代は3万3000円なのに対し、20代で1万7000円、30代では2万4000円。年間の非課税投資枠120万円を使い切れず、節税メリットを活かしきれていません。非課税投資期間が5年しかない現行NISAを、「手元資金が十分でない若年層」等にも利用しやすくするために、NISA制度の見直しが課題となっています。

積立NISAの目的

現行NISAの年間投資上限額120万円、非課税積立期間5年に対し、新設予定の積立NISAでは、年間投資上限額を40万円、非課税積立期間を20年とし、長期・分散投資のメリットを十分得られるような工夫がされています。長期間かけてコツコツ投資ができる制度の積立NISAは、老後資金の準備として活用するといった使い方ができそうですね。ちなみに積立NISAは現行NISAと併用ができず、どちらかを選択することになります。

また、積立NISAでは長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託にのみ投資ができる予定です。金融庁のNISA制度の効果検証結果によると、平成27年12月末時点における投資商品の売却率は、投資信託が9.7%に対し、株式が40.9%、ETF(上場投資信託)35.8%、REIT(不動産投資信託)が33.9%となっています。NISAは年間投資上限額からでた売却益や分配金が非課税になることが大きなメリットになる制度ですが、積立NISAでは個別株式や分配金が出るタイプの投資信託は購入できず、投資できる商品が限られることに注意が必要です。

積立NISAに期待する点と残る課題

「積立NISA」が開始されると、「現行NISA」と18才以降に引き出し可能な「ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)」の3つの制度が並立しますが、将来的には少額からの積立・分散投資に適した制度への一本化が検討されています。積立NISAでは非課税投資期間が20年と長期になった一方で、年間の非課税枠の上限が40万円と大幅に下がっています。それぞれ非課税投資枠や投資可能期間など違いがあるため、一本化で制度が簡素化されることにより使い勝手が良くなることが期待されています。

課題としては、非課税積立期間が20年と恒久化されていない制度であることから、企業の福利厚生として導入しにくいという意見があります。手元資金が十分でない若年層が利用しやすくなることや、積立投資の普及・定着のためにも、NISA制度の恒久化が待たれるところです。

NISA制度は、非課税投資上限枠のうち使わなかった枠は翌年に繰り越せない仕組みがあり、その分節税チャンスを逃すことにつながります。それぞれの制度の違いを確認して、自分に合ったNISA制度を上手に利用してください。

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