Topページ > 投資・資産運用 > 【頼藤太希のFX基礎講座】第5回:ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析
2017年5月9日

FXで利益を得るには為替の動きを予測しなければなりません。為替の分析は、各国の経済状態などから値動きを予測する「ファンダメンタルズ分析」と、過去の値動きから将来の値動きを予測する「テクニカル分析」に分かれます。
今回は、両者の使い方を解説していきます。

為替レートを動かす2つの原因

為替レートを動かす原因は大きく分けて2つあります。それは、「各国の経済指標」と「FX投資家の予想」です。為替レートは、大前提として、その通貨を発行している国家の経済などの状況によって動きます。この経済の基礎的条件を「ファンダメンタルズ」と呼びます。

通貨は市場で取引する人の需要と供給のバランスで変化するため、「FX投資家の予想」も大きく影響するわけです。買い手が増えるほど上昇し、売り手が増えるほど下落します。FX投資家には、プロディーラー、ヘッジファンド、一般投資家がいますが、プロディーラーとヘッジファンドの影響は大きいです。

「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」は一長一短

景気動向や金利などを分析して為替の動きを予測する手法を「ファンダメンタルズ分析」と呼びます。

経済が強い国、景気が良い国、金利が高い国の通貨は高くなる傾向にあります。逆に景気が悪くなったり、政情不安になったり、金利が低くなったりすれば通貨は安くなる傾向にあります。

金利が高いと通貨が高くなる仕組みは、金利が低い国と比べて高い国で投資をした方が魅力的ですよね? 皆が皆、金利が高い国に投資をすると、通貨の買われる量が増えて、通貨高になるというわけです。ファンダメンタルズ分析は、主に、中長期の動きを予測する時に用います。メリットは、為替相場の大きな転換点が把握できる点です。デメリットは短期の小刻みな動きを把握できない点です。

一方、チャートを使って、通貨の動きを予測するのが「テクニカル分析」と呼びます。テクニカル分析には、さらに2つの手法に分類でき、1つは値動きの傾向を見抜く「トレンド分析」、もう1つは、相場の過熱感(買われ過ぎ、売られ過ぎ)に注目して値動きを予測する「オシレーター分析」です。

テクニカル分析は、主に、短期の動きを予測する時に用います。メリットは、市場の心理を読み取ることができ、目先の動きを把握できる点です。デメリットは経済状況の変化によるトレンド転換をつかめない点です。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は一長一短があるので、両者をバランスよく使う必要があります。経済指標はたくさんありますので、主な経済指標だけを見て、そのあとはテクニカル分析で取引するスタイルがFXには向いています。

 

ファンダメンタルズ分析

二国間の関係が為替に反映される

ファンダメンタルズ分析で押さえておくべきは、ある国の景気が良く、その国に投資したいという人が増えれば、その国の通貨を必要とする量も増えて、通貨の価格は上昇するということ。

ただし、「通貨の価格が上昇・下落」は二国間の関係によることだと覚えてください。例えば、A国の景気が良かった場合、B国がそれを上回る景気の良さであればB国通貨はA国通貨に対して上昇する(通貨が買われる)ことになります。これは金利についても同じことが言えます。

ファンダメンタルズ分析においては、景気が良いかまたは良くなるか、金利が高いかまたは高くなるかは重要になります。

為替に影響があるニュース

景気や金利が重要であることはお分かり頂いたと思いますが、ここでは、為替に影響があるニュースをお伝えします。

金融政策、政権交代、要人発言、企業業績、自然災害、技術革新などです。

要人発言は色々とありますが、影響力が強い人を挙げると、FRB(米連邦準備制度理事会)議長、米国財務長官、ECB(欧州中央銀行)総裁、BOE(英中央銀行)総裁、米国の各地区連邦準備銀行総裁、BOJ(日本銀行)総裁などです。以下のイベント前後の要人発言には注意しましょう。

・FOMC(連邦公開市場委員会)開催:年に8回(6週間ごとの火曜日)

・日銀短観発表:年に4回(1月、4月、7月、10月)

・各国の政策金利発表(毎月)

・米国雇用統計発表(毎月第1金曜日)

・日銀金融政策会合開催

・G7、サミットなどの国際会議の開催

・景気動向指数発表(毎月)

為替レートに影響する重要指標

上記に挙げた指標以外では、以下の指標はチェックしておきたいところです。

・GDP

手っ取り早く景気が良いか悪いかを判断する指標として、GDPがあります。消費、投資、総輸出・輸入など幅広い経済分野の動向が反映されますが、速報性がないのが難点です。上方修正、下方修正した際に為替に大きく影響を与えます。

・消費者物価指数

消費者が購入した商品やサービスの価格の変化を示します。物価の動向を見て、今後金利が上昇するかどうかを探る参考になります。

・鉱工業生産指数

製造業、鉱業、電力・ガスなどの実質生産を計測する指標。ハイテクや自動車のような業種は別に分類されています。

・ISM非製造業景況指数、ISM製造業景況指数

先行景気指数。50以上が景気拡大(ドル高要因)、50未満が景気後退(ドル安要因)です。

・ADP雇用統計

人事業務代行会社ADPが約50万社のクライアントの給与計算データをもとに発表するレポートで、雇用統計の2日前に発表されるため、雇用統計に先行する情報として注目されます。

これらのニュースは、速報性の高いニュースソースで取得するのがよく、FXアプリに搭載されているニュース、日本経済新聞電子版、ロイター(REUTERS)、ブルームバーグ(Bloomberg)で確認するのがオススメです。

テクニカル分析

テクニカル分析ツールには、シンプルなものから複雑なものまで多くの種類がありますが、市場参加者の多くが活用していて、シンプルで分かりやすいツールを使うのが最適です。

残念ながら為替動向を完全に予測できるツールはありません。複数のツールを組み合わせて活用するのが、為替レートの上昇・下落の的中率を高めることになります。

初心者にオススメの組み合わせは、トレンド分析は「移動平均線」、オシレーター分析は「RSI」です。

トレンド分析 「移動平均線」

移動平均線とは、過去の一定期間の取引価格を平均化して繋いだ線のこと。たとえば、「25日平均線」なら過去25日間の取引価格の平均値をその日ごとに算出し、一本のラインにしていきます。

上昇トレンドの時、平均線は右上を向き、さらに価格は平均線の上にあることが多いです。下降トレンドの時は、平均線は右下を向き、かつ取引価格が下にあることが多いです。

また、移動平均線を使って、為替レートのトレンド転換を予測する方法は、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」です。

移動平均線は短期線と長期線の2本の線を使い、短期線が長期線を下から上に突き抜けた時が「ゴールデンクロス」と呼ばれ、上昇トレンドに移行する際に現れやすいサインです。「買いのシグナル」となります。

図:ゴールデンクロス

 

逆に短期線が長期線を上から下に突き抜けた時が「デットクロス」と呼ばれ、下降トレンドに移行する際に現れやすいサインです。「売りのシグナル」となります。

図:デットクロス

オシレーター分析 「RSI」

オシレーター分析に用いる指標は、どのツールを利用しても考え方は基本同じです。最もシンプルなツールが「RSI」です。

RSIは、買われ過ぎ、売られ過ぎを判断するためのツールになります。

一般的には、RSIが70%より上のエリアは「買われ過ぎ」の状態と判断され「売りのシグナル」、30%より下のエリアは「売られ過ぎ」の状態と判断され「買いのシグナル」となります。

図:チャート

 

実際にチャートと一緒にRSIを表示してみると、RSIのシグナル通りに売買すれば、儲かっていることが多いのが分かります。

しかし、上図を見ると分かる通り、儲かっていないシグナルもありますよね。これはRSIをはじめとしたオシレーター系指標に現れるのですが、上方エリアや下方エリアに張り付き、この状態は「ダマシ」と呼ばれます。シグナル通りにトレードすると損を被ることになります。

例えば、「売られ過ぎ」の状態で、「買いのシグナル」が来たとばかりに急いで買うと下がることがあるということです。

移動平均線をメインに、RSIを補完的に活用する

そこで、移動平均線と RSIを組み合わせることで、相場予想の確率を上げることができます。具体的には、移動平均線の傾き(上昇トレンドか下降トレンドか)とクロス(ゴールデンクロスとデットクロス)をメインにして、RSIを補完的に活用することです。

上図を見て分かる通り、移動平均線よりもRSIの方が早くサインが出ることが多いので、RSIでシグナルが出たら、エントリーの準備をし、移動平均線がクロスしたらエントリーするのが一つの目安となります。

まとめ 4か条

(1) 「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」は一長一短があり、中長期のトレンドはファンダメンタルズ分析、短期のトレンドはテクニカル分析で把握する

(2) 経済指標は多数あるので、主な経済指標だけを見て、あとはテクニカル分析で取引するスタイルを採用するのがFXに向いている

(3) テクニカル分析には「トレンド分析」と「オシレーター分析」がある。為替動向を完全に予測できる万能なツールはないため、複数のツールを組み合わせて、為替レートの上昇・下落の的中率を高める

(4) 初心者にオススメの組み合わせは、トレンド分析は「移動平均線」、オシレーター分析は「RSI」。移動平均線の傾きとクロスをメインにして、RSIを補完的に活用する

【頼藤太希のFX基礎講座:全6回】

第1回:FXの基本のき
第2回:FXの3大特徴
第3回:FXを株や外貨預金と徹底比較 
第4回:初心者のためのFX投資法
第5回:テクニカルとファンダメンタル分析(今回)
第6回:いざ実践、会社選びから口座開設まで

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