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アセットアロケーションを考える上での3つの資産
アセットアロケーションを日本語でいうと資産配分と言ってよいでしょう。配分する資産には3つの特性に分けることができます。まずはここから理解しましょう。
流動性資産
流動性資産は、その特徴として「すぐ使える」というメリットがあります。例えば、銀行の普通預金に預けているお金やみなさんのお財布に入っているお金です。利用したいときにすぐ使えるというメリットがありますが、デメリットとしては「増えない」ということがあげられます。
お財布のお金が急に明日になっていたら増えることはありません。また、普通預金の0.001%という金利では自分が期待する以上にお金が増えることはないでしょう。
安全性資産
安全性資産と言われるものには、「保障がついたり、増えたり」というメリットがあります。例えば、貯蓄性のある終身保険や一定年数を預けると通貨ベースで元本を保証する一時払い終身保険などがあります。また、個人年金保険などもそうです。保障が付いたり、計画的に資産形成しながら運用できるというメリットもありますが、やはり保険ですから資産が「拘束される」という不自由さがあります。
収益性資産
収益性資産と言われるものには、株や投資信託や不動産などがあります。こちらのメリットは資産が「増える」可能性がありますが、デメリットとしては投資が失敗すると資産が「減る」という可能性があります。
お気づきでしょうか。あなたが保有している資産は、必ず上記の3つの資産に属しています。そして、流動性を持ちながら安全性もあり収益性もあるという「資産」は存在していません。いつでも自由に使えるけれども、持っているだけで保障が付いてきて、なおかつ収益も上がるというのはありません。
つまり、これらの資産をどのように保有していくかの割合のことを、アセットアロケーションと言ってよいでしょう。実際のところ、このアセットアロケーションを把握して計画的に投資できている人はプロのファイナンシャルプランナーでもできていない人が多いのです。
日本人のアセットアロケーションの典型例
こちらをご覧ください。日銀が公表している日本人とアメリカ人の資産構造比較です。日本人の場合、資産の8割がリスクを取らない安全資産(ここでいう安全資産とは、流動性資産と案税性資産のことを指しています)で保有しています。

実際のところ、資産のほぼすべてを銀行に預けっぱなしという人が多いのではないでしょうか。金利は0.001%つまり、20年たったとしてもあなたの銀行の普通預金で保有しているお金は微々たる金額しか増えません。
一方アメリカ人の安全性資産は資産の5割弱となっています。日本においては毎年2%の運用が出来れば成功だという認識を持っている人も多いわけですが、米国では5%前後で運用することはごく普通と考えています。日本人が先進国で最も「金融リテラシー(金融に関する知識や知性)が低い」と言われているのもうなずけます。
これから少しずつインフレが進んでいくと思われますが、現在のような低金利時代が続いていくとすると銀行にお金を預けていてもお金が思った以上に増えることは予測しづらい環境にあります。
しかし、モノの価格はどうでしょう。30年前と比較すると2倍になっているものもあります。ランドセルなどは、最近どんどん進化を遂げていてもっと高い印象があります。

つまり、ほぼ金利が付かない状態でお金を保有することは、物価を考慮すると「お金の価値が下がっていく」ということがわかります。そう伝えられても「銀行やタンス預金」からお金を動かさないのが日本人の気質であり特徴なのです。これでは国際的に金融において、日本は取り残されていくと言われても過言ではありません。
あなたの理想的なアセットアロケーション
あなたのアセットアロケーションを考える場合、年齢や年収、家族構成や現在資産、リスク許容度などを考慮していく必要があります。そのため、詳しくはファイナンシャルプランナーにご相談されるのが一番良いと思います。
ここでは、「エイジスライド方式」という投資における古典的な投資手法と流動性資金の一般的な保有形式を組み合わせて、あなたの理想的なアセットアロケーションの考え方を伝えていきたいと思います。こうした考え方の基本を持つことはとても大切で、一つの古典的な手法でもしっかり守っていくことで、将来の自分の資産状況を予測することもできるようになり、簡単なこの計算方法でも実践できていればあなたも「一歩進んだ投資家」と言ってもよいでしょう。
なぜなら、アセットアロケーションをしっかり組んでおけば投資の80%は成功すると言われるぐらいこの「資産分配」は長期投資を視野に持った人にとって重要だからです。
◆エイジスライド式のアセットアロケーション計算方法
100-年齢=( )=収益性に当てられる上限のパーセンテージ
35歳の方でしたら、100-35=65 という感じで「65」という数字が出てきます。70歳の方でしたら、100-70=30 という感じで「30」という数字が出てきます。このように、年齢に応じて収益性資産に配分を変えていき、年齢が増してきたらあまりリスクの高い投資法は控えましょうという考え方です。
◆一般的な流動性資産の金額
(家賃【住宅ローン】+生活費)×6か月分=流動性資産として確保しておきたい金額
例えば、住宅ローンが10万円で、生活費が25万円の方は、(10+20)×6=180万円
と計算できます。日本人の場合、この数字がどうしても「少ない」と思ってしまいがちですが、常識的な金融リテラシーがあれば、「流動性資産」はこの金額で十分であることがわかるようになります。
この2つの考え方を踏まえて、次回で具体的なアセットアロケーションについてお伝えしていきます。実際、自分の理想のアセットアロケーションを知りたい方は、ファイナンシャルプランナーにご相談されるとよいでしょう。
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