Topページ > 投資・資産運用 > AI関連株への投資はイノベーションリスクを理解しないと成功しない
公開日:2017年4月27日

巷ではAI(人工知能)に関する情報に溢れ、投資の世界においても証券会社や専門家と称する人たちが関連銘柄探しに躍起になり、AIを冠した投資信託の設定も相次いでいます。これまで話題先行だったAI自身の進化に加え、あらゆる機器がインターネットに繋がるIoTの普及により、AIが中核を担うイノベーションが始まったことは間違いなく、投資においても資産形成の絶好の機会と言えます。しかし、証券会社や投資信託会社の販売用資料にイノベーションリスクに触れたものは皆無であり、歴史に学べば「AI関連株への投資はイノベーションリスクを理解しないと成功しない」と言っても過言ではありません。

イノベーションが絶好の投資機会となる理由

イノベーションリスクに触れる前に、AIによるイノベーションの発生が絶好の投資機会となる理由を考えてみます。経済成長をモデル化した生産関数によれば、経済成長の決定要素は資本労働イノベーションの3つしかなく、既存の経済システムの下では資本と労働の投入による増産効果には限界があり、次第にその効果は低減していきます。

しかし、ひとたびAIのようなイノベーションが発生すれば業務の多くがAIに置き換えられ、特に労働への依存が減少していきます。そうなると、生産効率が著しく向上するとともに労働分配率が低下して収益が拡大するため、企業は投資資金を従業員ではなく、AIに振り向けるようになります。その結果、AI関連の市場規模が急拡大し、企業も投資家も極めて大きな利益が期待できるのです。

イノベーションはバブルを伴う

上述のように投資の世界ではAIブーム花盛りです。そうであれば今後どのようなことが予想されるでしょうか。歴史に学べば、「イノベーションはバブルを伴う」ということです。

株式市場では、イノベーションによって将来に渡って期待できる利益を先取りする傾向が強く、画期的なイノベーションを提供する企業には常識では考えにくい株価水準まで上昇してしまいます。また、当初は何らかの理論的裏付けがあってもバブルが本格化していくうちに需給が勝り、関連銘柄の大半が上昇する事態に発展し、これが最終的にはバブル崩壊をもたらします。これは歴史的に繰り返されていることで回避することは難しいため、私たち投資家はそうなることを予測して、むしろバブルを利用するという心構えで臨む必要があります。

このことをAI関連企業で考えてみましょう。AI関連企業のカテゴリーは、(1)AIに関する製品・サービスを開発・提供する企業だけを指すのではなく、(2)提供されたAIを活用して事業を展開する企業も対象になります。

(1)の例としては、①ディープラーニングや言語処理、画像認識、予想・分析技術などAIの核となる技術を開発・提供する企業や、②CPU、センサー、データ通信、データ管理・分析などAIの進化に必要不可欠な部品や周辺技術を提供する企業です。

(2)の例としては、③販売促進支援やセキュリティ・認証などAIを駆使して業務高度化を図る企業や、④ゲーム、介護サービスなど快適な生活環境を提供する企業です。

こうしたなか、現状の証券会社や専門家と称する人たちの推奨銘柄の多くは、AI関連の新技術の最終的な姿が見えていないため、AI関連業務を行なっている程度の銘柄紹介の域を出ていません。さらにイノベーションと呼べる技術開発に成功した企業でも商業的に成功する確率は約20%に過ぎないという米国企業の調査結果を勘案すると、8割近い銘柄はバブル崩壊とともに泡沫(はかなく消えていく)銘柄になるということです。つまり、勝ち組企業になるには新技術以外の高いハードルがあるということであり、ここに投資におけるイノベーションリスクが隠れていると考えます。

イノベーションリスクをコントロールしてバブルに乗る

イノベーションと呼べる技術を開発し、商業的にも成功する約20%の企業を見つけるのは至難の業ですが、イノベーションリスクをコントロールしてバブルに乗る方法はあります。

その方法とは、商業的に成功した理由に目を向けることであり、それは何かと言えば技術供与、業務提携、買収などに代表される政治力や経営力です。各企業のAI関連技術の進捗状況を詳しく知らなくとも技術供与や業務提携などの報道が技術水準を示す指標となり得ます。

例をあげると、今年3月に米インテルがイスラエルのモービルアイを153億ドル(約1兆7000億円)もの大型買収を発表しましたが、モービルアイの技術に加え、取引先の自動車メーカーとの関係を強化する戦略や業界の勢力構図が見えてきます。

ここで重要なことは、AI技術のデファクトスタンダード(業界標準)として主導権を握る(1)①のAIの核となる技術を開発・提供する企業はアマゾン・ドット・コムやアップル、グーグルなどの米国企業で占められる一方で、日本企業は政治力のあるソフトバンクなど少数に限られると思われます。このため、米国のAI関連株を組み込むことは必須と言えますが、その際にはAI関連株投信を運用するプロに任せることも選択肢となるでしょう。

私は職業柄、米国の運用会社から直接話を聞いて設定当時から注目しているAI投信があり、運用成績も好調です。私が注目した理由は、運用チームのコアメンバーがAI分野での実務経験があり、シリコンバレーに強いコネクションを持ち、組入銘柄も40~50社に絞り込んでいるためです。直近の組入状況は米国企業88.6%を占め、日本企業はゼロです。また、直近の組入上位銘柄はマイクロン・テクノロジー、アリスタ・ネットワーク、テスラ、アメリカンタワー、アマゾン・ドット・コムの順となっています。

まとめ

ハイカーブという経験則では、新しい技術は出できた当初は期待が過剰になり、一定時期を過ぎると一気に幻滅する人が増加し、最終的にはそこから回復して普及期に入るという軌跡を描きます。つまり、新しい技術が完全に普及すればバブルはバブルでなくなり、その技術が途中でダメになれば容赦なくバブルとみなされることを示しており、AI関連株の先行きを占うものとして頭に入れておくと良いでしょう。

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