Topページ > 納税 > 企業版ふるさと納税、その仕組みと事業プロジェクトとは
公開日:2017年3月22日

お得な制度として人気のふるさと納税ですが、2016年には企業版ふるさと納税がスタートしました。個人版との違いはどんなところにあるのでしょうか。
個人版のふるさと納税では、実質2000円の自己負担で、様々なお礼の品が受取れることが人気となり、広く認知されています。企業版ふるさと納税のメリットは、税負担の軽減と企業イメージのアップです。今回は、企業版ふるさと納税について解説します

企業版ふるさと納税の概要

急速に進む人口減少に伴う超高齢化は、国が直面する大きな課題です。特に地方は顕著に影響を受けます。人口減少は税収を減らし、超高齢化により医療・介護などの社会福祉費用は増加せざるをえません。雇用も減少し、法人住民税も減る一方です。このままでは、地方の活力が低下し、国全体の競争力が弱まることが懸念されるため、政府は地方創生の実現に取り組んでいます。

地方創生事業のひとつとして、ふるさと納税があります。個人版も企業版も、「ふるさと納税で地方を元気にしよう」という主旨は同じです。納税者が寄付先を選択できることも同じです。そのため、地方公共団体同士の競争が進み、より良い地方のあり方が生まれることが期待されています。

企業版ふるさと納税の流れと税制メリット

企業版ふるさと納税では、地方公共団体による地方創生のプロジェクトに対して寄付をした場合に、税額控除の措置がとられます。対象になるプロジェクトは、内閣府で認定を受けている必要があります。

まず、地方公共団体が地方創生プロジェクトの企画立案をして、企業に相談し寄付の見込みを立てます。そのプロジェクトを内閣府に申請し、認定、公表されてから、地方公共団体がプロジェクトを実施して、事業費を確定させます。その後、企業が寄付の払い込みをします。寄付額は、事業費を超えることはできません。また、企業の本社が所在する地方公共団体への寄付は対象外です。そして税負担の軽減効果ですが、現行の2倍になります。たとえば、1000万円の寄付をした場合、今までの制度では寄付額の約3割(約300万円)の税の軽減効果がありましたが、企業版ふるさと納税では、新たに寄付額の3割(300万円)が税額控除されるのです。寄付は10万円から可能なので、多くの企業にとって利用しやすい制度になっています。

社会貢献をしている企業として、イメージアップにつながることも、メリットです。

具体的な採択事例

さて、2016年からスタートした企業版ふるさと納税は、すでに対象事業が157件、全体事業費は総額679億円に上っています。

代表的な事例を2件、ご紹介します。

北海道東川町「冬季観光誘客による地方創生推進プロジェクト」

アウトドア用品の総合ブランド(株)モンベルが、スノーボード国際大会の開催事業に寄附をします。観光客が減少する冬季の観光需要を拡大し、観光収入の増加と雇用の安定を図る目的で、企業の事業に関連の深いプロジェクトへの寄付として注目されています。2016年度事業費は1852万円、成果目標は、外国人宿泊者数を2015年1.3 万人から2016年1.4 万人に、キャンモアスキー場外国人利用者数を2015年500人から2016年1200人に増加しています。

埼玉県所沢市「住んでみたい・訪れてみたいまち所沢プロジェクト」

(株)KADOKAWAと所沢市は、共同プロジェクトとして、まちの魅力を高める「COOL JAPAN FOREST 構想」を推進しています。(株)KADOKAWA が整備する工場・図書館・博物館・美術館などの多機能を備えた東所沢の「ところざわサクラタウン」が拠点施設となりますが、その周辺の道路、駐車場、バス乗降車場等を整備し、東所沢地区への来訪者の増加を図る事業に寄付をします。

2016年度事業費は1800万円、成果目標は、東所沢駅1日平均の鉄道旅客降車人員を2016年1万5031人から2021年1万5570人、バス路線年間乗客数を2016年158万8837人から2021年160万5000人に増加目標としています。

今後の地方財政の在り方について

現在の地方財政は、国からの地方交付税がなくては成り立たないところがほとんどです。地方交付税とは、地方の税収不足を解消するために、国が地方に交付する資金です。地域間の経済的不均衡を是正するためには必要な制度ですが、国の財政改善と、地方の自立のためには交付を受けなくても成り立つ地方自治体を増やしていくことは、今後ますます重要になってくるでしょう。

総務省の「平成28年度普通交付税の算定結果等」(2016年7月26日発表)によれば、全地方公共団体数は1765団体。そのうち、地方交付税を受けていないのはわずか77団体です。企業版ふるさと納税によって地方の活性化が進み、政府の思惑通り、自立した地方公共団体が増えていくのでしょうか。始まったばかりの企業版ふるさと納税、目が離せない制度になりそうです。

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