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高所得者層の所得税負担は増える
高額給与所得者であれば、今年の収入(来年の申告から)については税金が「また」少し増えることを覚えておいてください。図1・図2 (図2は図1に合わせてご覧ください)から分かるように、1,000万円を超える給与所得者の「給与所得控除額」が減ることにより、「課税所得額」が上がり、他の控除額に変化がなければ、今年と比べて来年の申告では、税金の額が上がる可能性があります。(※給与等の収入金額が660万円未満の場合には、所得税法別表第五により、この図と必ずしも一致しません。)

図1:新旧の給与所得の計算表

図2:収入金額1000万円以上の所得額変化
そもそも昨年の2015年は、控除上限額のバーは、所得1,500万円でした。(控除額は245万円)3年かけて段階的に引き下げられて今年に至るのですが、高額所得者への課税強化は、今後ますます進むと予測されます。
病気の予防費で税金が安くなる!健康確保で一石二鳥
高額所得者以外でも、サラリーマンの方におススメな「医療費控除」。会社の年末調整だけでは控除されませんので、必ず確定申告を行ってください。
そして、この医療費控除も今年から(来年の申告分から)控除できる税金の種類が増えるのをご存じですか? というのも、「医療費控除の特例(通称:セルフメディケーション税制)」が創設され、昨年までは従来の医療控除制度で「ケガや病気になってしまい、病院でかかった費用」が年間10万円以上であればかかった医療費が所得税から控除仕組みでしたが、今回の特例で今までの控除に加えて「病院へ行かず自前で購入したOTC医薬品や、予防の為の予防接種や健康維持のため定期的に行っている健康診断にかかった費用」が年間1万2千円以上であれば、税金を安くする仕組みが加えられました。ただしこの特例は、従来の医療費控除との併用はできません。どちらが我が家にとって有利か、チェックしたうえでの申告が必要です。どちらも領収書やレシートは必須になりますので、捨てずにしっかり保管しておきましょう。
参考:厚生労働省HP該当ページ
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金制度)の改正点は?
そして2017年は何より「確定拠出年金の元年」とも言われています。スタートしたのは2001年なのに、なぜ今年が元年かというと、今まで加入できなかった人も、加入できるようになったからです。具体的には下記の人達です。
- 公務員や私学共済の加入者
- 専業主婦
- 勤務先に企業年金のあるサラリーマン(マッチンク拠出年金選択の企業は除く)
個人型確定拠出年金に「iDeCo(イデコ)」という愛称を付け、公的年金だけでは老後生活が安定しない将来を見越し、国が普及に力をいれています。
参考:厚生労働省HP該当ページ
【コラム】これだけは知っておきたい確定拠出年金の運用における基礎知識
【コラム】個人型確定拠出年金(iDeCo)のデメリットってなに?
子育て世帯や高齢者は朗報、増える空き家対策を兼ねた制度
最後は、国土交通省管轄の助成金制度です。毎年増え続ける「空き家問題」に、家を必要とする人たちとを結ぶ、画期的なスキームです。「2013年住宅・土地統計調査」によると、5年前と比較して総住宅数の空き家割合は、8.5%も増加しているのです。
助成金制度の仕組みは、空き家の持ち主が該当の空き家を修繕した場合、一定の条件で100万円を助成し、子育て世帯や高齢者など一定の条件の入居者に、最大毎月4万円の家賃補助が助成されるものです。この制度はすでに来年度の予算案にも資金確保済みで、特例ではあるものの、継続が予測されます。
参考:国土交通省HP該当ページ
絶対に知っておきたい税金や年金制度の改正、補助金の新設について解説しましたが、こういった制度の変化を知るには、日常から新聞やニュースを意識しながら見ておくと良いでしょう。