Topページ > 年金 > 年金法改革でどう変わる?保険料負担者や受給者への影響について
公開日:2016年12月24日

年金法を改正する動きがあります。何のために改正するのか、改正によって公的年金はどうなるのか、主だった部分を取り上げてまとめてみました。 

改正はマクロ経済スライドの強化

公的年金のうち国民年金の老齢基礎年金は、年金保険料を20歳から60歳まで40年間全額納めると、65歳から年間780,100円(平成28年4月分からの年金額)の年金を受け取ることができます。年金額は物価や賃金の動きに連動していて、物価や賃金が増えれば年金額も増えるようになっていますが、マクロ経済スライドという仕組みによって増え方を物価や賃金より抑えています。今回は、より年金制度を持続可能なものとし、将来受給する世代の給付水準を維持するために必要な措置として、連動の仕方を一部改正するものです。

厚生労働省の資料には下記2点が記載されています。

① マクロ経済スライドについて、現在の高齢世代に配慮しつつ、できる限り早期に調整する観点から、名目下限措置を維持し、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を調整。【平成30年4月施行】

② 賃金・物価スライドについて、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金変動が物価変動を下回る場合には賃金変動に合わせて改定する考え方を徹底。【平成33年4月施行】

資料:厚生労働省年金局「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案の概要

景気後退期に調整しきれていなかった(年金額を連動して下げなかった)分について、景気回復期に未調整分を持ち越して、合わせて調整するように変更します。また、物価が上昇していても賃金が下がっている時は、賃金に合わせて年金額も下がるようにします。どちらも年金を受給する立場で考えれば、減る方向への改正なので嬉しくはありません。しかし、今は年金保険料を負担し将来年金を受け取る立場で考えれば、制度が持続可能な方向への改正なので、歓迎できる改正と言えます。

 年金受給要件の緩和

国民年金(老齢基礎年金)の受給資格を得るのに「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上であること」という要件があります。保険料を払った期間が25年以上(免除期間も含む)ないと、老齢年金を受け取れなかったのが、改正により10年以上へ短縮するようです。何らかの理由で25年以上払えなかった人や払える見込みがない人にとっては朗報と言えるでしょう。

ただ、国民年金保険料の納付率は63.4%(日本年金機構の主要統計平成27年度版より現年度分の納付状況)しかなく、相当数の人が年金保険料を払っていません。家計のやりくりが大変で保険料の負担が厳しい人もいますが、中には年金制度の将来が不安だから払いたくないとか、元が取れないから払いたくないような人もいるようです。また、受給資格を得る期間が10年以上に短縮したからと言って、10年払えさえすれば良いと言うことにはなりません。保険料を払う期間が短ければ、将来受け取る年金額も当然減ります。やむを得ない事情がない限り40年払う努力をしていきましょう。

 まとめ

日本は少子高齢化が進行しており、世代間扶養の仕組み(現役世代の納める保険料で高齢者の年金給付を賄っている)によって成り立っている年金制度を維持していくのは大変な状況です。しかし、年金制度には老後の年金を受け取るだけでなく、万一時の遺族年金や障害年金の制度もあります。みんなで協力しあって、今後も公的年金制度を維持していきたいものです。