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新制度:団信付フラット35の構造的な変化
これまで、フラット35は団信を任意加入としていましたので、団信に加入しないこと、民間の生命保険を代わりに活用することも選択可能でした。しかし2017年10月からの新制度では病気などの理由で団信に加入できない場合を除いては、団信は自動的にフラット35にセットされることになります。
これまでもフラット35を扱っている住宅金融支援機構では団信の取扱はありましたが、年に1回、特約料として月々の住宅ローン返済とは別に支払う仕組みになっていました。年に一度の支払ですので、支払時の負担感が大きく、また、保険料の支払を失念してしまった場合、万一の時の保障が受けられなくなるという懸念がありました。
新しいフラット35では月々の金利に団信保険料として0.28%の金利が上乗せされる仕組みとなり、毎月のローン返済と一緒に支払う仕組みとなりましたので、これまでのような保険料の払い忘れとなるような心配はなくなり安心といえます。
新しい団信付フラット35の金利は、例えば、2017年4月現在の金利1.12%(融資率9割以下、最低金利)が適用されるとすると、2017年10月以降、フラット35の金利は団信保険料(0.28%)込みで1.4%=1.12%+0.28%となります。
新制度でも3大疾病付団信があり、その場合にはさらに0.24%の金利が上乗せされます。新制度団信付フラット35が1.4%の場合、3大疾病付は1.64%となります。
団信は保険ですので、今回フラット35にセットされる団信も健康状態、病歴等の診査がありますので加入できないこともあります。しかし審査の結果、加入できない場合でもフラット35の利用は可能となっています。
健康上の理由等で団信に加入できない場合には、新制度の団信付フラット35の金利から0.2%を差し引いた金利になります。仮に新制度の団信付フラット35が1.4%の場合は、1.2%となります。
新制度で団信に加入できない場合、旧制度より0.08%金利が増える計算とはなってしまいますが、銀行融資での住宅ローンは団信加入が必須であることを考えますと、特に、健康状態や病歴に不安がある場合には、有力な制度といえるでしょう。
新しいフラット35のメリット
団信加入費用が軽減されます
旧制度における団信は、年に一度、住宅ローン残高に対して計算がされていたため、支払月の負担感が大きくなる懸念がありました。しかし新制度では支払いが月払いで平準化されますので負担感が軽減されることが期待できます。
また、毎月の住宅ローン返済だけ見た場合、負担増のようにも感じるかもしれませんが、住宅金融支援機構によると、旧制度と新制度の総支払額を比較した場合、団信加入にかかるトータルの費用は軽減される仕組みになっているようです。
試算の前提条件:借入額3000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、新旧とも1人で加入、支払総額には融資手数料、火災保険等、他費用は含まない。
借入金利例 (現在金利参考) |
ローン 総支払額 |
団信特約料 総支払額 |
総支払総額合計 | |
現制度 (2017.9.30まで) |
年1.12% | 約3628万円 | 約204万円 | 約3832万円 |
新制度(2017.10.1~) | 年1.4% | 約3797万円 | 不要 | 約3797万円 |
総支払額比較表は住宅金支援機構資料より作成
団信保障が、高度障害保障から身体障害保障に変わり適用範囲が広がる
費用も軽減され、内容もよくなるようです。
「身体障害保障」の適用要件は以下の2つともに該当することとされています。
- 団信保障開始日以降の障害または疾病を原因として、身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当したこと
- 身体障害者福祉法に基づき1級または2級の身体障害者手帳の交付されること
例えば、機構資料によると、心臓へのペースメーカーを植え込み、人工透析で日常生活が制限されるような場合を身体障害保障対象事例としてあげています。
3大疾病付には、新制度では「介護保障」が加わります。
「介護保障」の適用要件は次のいずれかに該当することとなっています。
- 団信保障開始日以降の障害または疾病を原因として公的介護保険制度による要介護2以上に認定されたこと
- 団信保障開始日以降の障害または疾病を原因として引受保険会社の定める所定の要件を満たすことが医師による診断で確定されたこと
特に、身体障害者福祉法に定める身体障害状態が保障対象となる団信は2017年2月時点では「国内初」とのことですので注目度は高いといえます。
新制度を申し込む際の注意点
新制度は2017年10月1日以降の申込分からとなります。9月30日までにフラット35の申込・審査済みの方が新制度の利用を希望する場合には、改めての審査が必要となります。
改めて審査した結果NGとなった場合には、旧制度での審査結果も、その結果にかかわらずNGとなる場合もあるとのことですので注意が必要です。
まとめ
最終的な住宅ローンの選択は、金利面、融資手数料・保証料・団信保険料等諸費用、勤続期間や年収等総合的に判断しなければいけません。
しかし、筆者は、FP相談現場で、がん等のご病気で障害者手帳の交付を受けている、お客様と関わらせていただいている経験から、今回の新制度の団信付フラット35のような障害者手帳の交付や公的介護認定関連付けられた、分かりやすい保障内容の拡充はとても評価しています。
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