Topページ > 相続 > 弁護士が教える、財産を守る合法的な相続税対策とは
公開日:2017年3月31日

 具体的にはたとえば相続人が妻、子2人の場合、これまで5000万円+1000万円×3=8000万円だった基礎控除が、改正後は3000万円+600万円×3=4800万円になっています。

そのため、このケースの場合亡くなった人の遺産が4800万円を超えてしまうと相続税がかかることになります。

この法改正で、課税対象とされる人の割合も従前の約4%から6%に上昇すると言われています。

 実際、税制改正でこれまで課税されなかったのに課税されることになりそうで、相続税対策をしておく必要が出てきた、というお話はちらほら聞くようになりました。

 それには、具体的にどういった方法があるのか、あらかじめ知った上で対策を取る必要があります。やり方によってはある程度時間をかけて行わなければならないものもありますので、まずは対象となる資産についてのお話、次に相続税対策として、どんなものがあるかをみていきましょう。

財産を守る合法的な相続税対策

有効に節税をするには?

まずは相続税対策をするにあたって、相続財産となる資産の棚卸が必要でしょう。

財産の棚卸しをしてみるにあたり、負債を含めて財産目録を作ってみる・あわせて相続関係図を作ってみることで、将来相続が発生したときどんな問題が出てきそうか、あらかじめ予測してみるのも一つの方法です。最近はエンディングノートでも、財産一覧や相続関係図が作成できるようなものがありますから、そういったものを利用してみるのもよいでしょう。比較的分けやすい現金・預貯金であればさほど問題はないと思いますし、おおよそ課税額がどのくらいになりそうか、見通しをつけやすいと思います。

しかし、土地がそこそこある場合には注意が必要です。実際に相続が発生 したときにどのように分けるかが問題になってきます。なかでも山林や田畑の場合は何代も名義を変えていないため、よくわからない相続人何人も(場合により何十人)との共有になっていると、相続してもどうするか困るでしょう。そのようなものがあれば、登記名義をどうするかといった問題も出てきます。また、名義は問題ないとしても、隣地や道路との境界があいまいだったりするとあとでご近所との境界を巡るトラブルを招きかねません。ですから、そういったすでに何らかの問題をかかえる土地があるかどうか、相続税対策云々の前にきちんと調査などしておく必要があるでしょう。その上で早めに処分をして現金化した方がよさそうであれば処分してしまう、土地としてそのまま残す、あるいはマンションなど建てることで活用するものなどを決めて、全体的に節税を考えるのがよいでしょう。

節税する上で利用できるもの

それでは相続税の対象になる財産のおおよそがつかめたとして、次は具体的にはどういった相続税対策があるかをみていきましょう。

生前贈与の活用

まずよくいわれるのは生前贈与の活用です。生前贈与には大きくわけて次の3つがあります。

・一般的な贈与について〜暦年贈与・相続時精算課税

・マイホームに関して〜配偶者控除・住宅等取得資金の非課税特例

・教育費などに関して〜教育資金の一括贈与・結婚、子育て資金の一括贈与

① 一般的な贈与のケース〜暦年贈与

暦年贈与は1年間に贈与により取得した財産の価額の合計が課税価格を下回る形で贈与をすることで、財産を減らすもので、割と使われてい る方法ではないかと思います。この場合、基礎控除額は毎年110万円で、それを超えると申告が必要になります。この方法を利用して節税をする場合には、前述のように基礎控除額が110万円と限られているので、ある程度長期間にわたって行うことが前提になってきます。

たとえば、太郎さんに妻、子供2人の相続人がある場合、太郎さんの遺産が6000万円あるとすると、先にお話しましたように4800万円を超える部分は課税されてしまいます。そこで、太郎さんが子供たち2人に110万円ずつ贈与していくと、おおよそ6年で贈与税がかかることなく子供たちに財産を移すことができます。

ただ、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額は相続税計算の上で加算しなければならないとされています。ですから、ちょうど贈与を始めて5年目で太郎さんが亡くなってしまうと、660万円を上乗せして相続税を計算するため、660万円分が課税対象になります。ですから、この制度を利用するのであれば早めに行う必要があります。

贈与は民法上口約束でも成立しますが、名義だけ贈与とみなされる可能性があるため、きちんと贈与契約書を作り、記録に残る形でお金を受け渡し、受け取った人が管理をするようにしましょう。

贈与税については、平成27年の税制改正で税率が見直されていますので、注意が必要です。

② 相続時精算課税。同じ贈与を受けるにしても、「相続時精算課税」を利用する方法もあります。

この制度を利用するには以下の要件を満たす必要があります。平成27年税制改正で一部変更されていますが、

ⅰ 贈与する人が贈与をした年の1月1日に60歳以上で、

ⅱ 贈与を受ける人が受けた年の1月1日に20歳以上

ⅲ 贈与を受けたとき贈与をした人の推定相続人か孫

であればこの制度が利用できます。

これによると2500万円までは控除され、超えると一律20%の税率となります。相続税の計算をする際には、贈与を受けた財産を相続財産に入れて計算することになるので、相続財産が相続税の基礎控除以下であれば、結局課税されないのでメリットがあるといえます。たとえば、先の太郎さんの遺産が4800万円だったとして、子の一人に予めまとめて3000万円相続時精算課税を利用した贈与をしたとすると、贈与税は特別控除額2500万円を控除した500万円になります。一律20%の税率なので、税金は100万円になりますが、相続税は上のように基礎控除額に収まるので、超える金額(100万円)をすでに払っていると戻ってくる(還付される)ことになります。この制度を利用するのであれば、あらかじめ贈与税の申告期限内に贈与税の申告書とあわせて、相続時精算課税選択届書を税務署に提出しなければなりません。一度この相続時精算課税によるとすると、同じ贈与する人からの贈与は暦年課税にできないので、どちらがいいかはよく検討してからがよいでしょう。他の生前贈与にまつわる制度は次回取り上げたいと思います。

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