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公開日:2017年4月27日

平成27年から相続税の基礎控除額が以前の控除額の60%に減額されて以来、特に都市部を中心に課税されるケースが増えたという報道をみるようになりました。現に、相続税の基礎控除が減額されて以後の申告状況に関する国税庁のデータをみても,全国でみて課税割合が平成26年度4.4%だったのが8.8%と増加しており、当初の予想を上回っています。都心部の場合、たとえば東京国税局管内ですと、課税割合が平成26年7.5%から12.7%へ増加、大阪国税局管内でも4.8%→8.2%へ増加しています。このように、これまで以上に相続税対策の必要性が高くなってきています。

都心部・地方それぞれで考えられる課税対象になりうるケース

都心部では、ご自身の親御さんがそこそこ名前が知れた会社にお勤めの場合や公務員の場合、まとまった退職金を受け取っていることが多いです。また、その親御さん(読者の方からみると祖父母)について相続が発生していて、まとまった遺産を受け取っているということもあるでしょう。そんな場合には、親御さんについて相続が発生したとき、現金として財産が残っていると相続税が課税される可能性が高くなります。不動産については最近の価格上昇で特に駅に近くなど利便性にすぐれた場所ですとかなりの割合で課税されるようになってきています。

地方でも不動産があったり,一定程度以上の規模の企業に勤めていると、やはりまとまった退職金があるため課税されるケースが増えてきています。

これまで、2回に渡って相続税対策についてみてきましたが、このように東京、大阪といった都心部はもちろんのこと、広島のような地方都市でも相続税節税対策の必要性が高まっているといえます。

相続税対策には、先に書きましたように比較的長いスパンでの準備が必要です。相続税なんてうちでは他人事、と思っているといざ相続が発生したとき思わぬ税金を納めなければならなくなり、納税資金をどこから調達するかで頭を悩ますことになります。

不動産対策については別の機会で触れますが、前回に引き続き生前贈与の活用策、そして生命保険の活用などについて見ていきたいと思います。

節税する上で利用できるもの(つづき)

⑴ 教育資金の一括贈与

先に触れましたように、子や孫への贈与としては、暦年贈与や相続時精算課税もありますが、暦年贈与ですとまとまった金額の贈与であればある程度の期間が必要になります。また相続時精算課税の場合は2500万円まで控除されますが、要件を満たすことが必要になります。

まとまったお金の使い道として教育資金・あるいは結婚資金に充てたい、という場合には、非課税枠が教育資金の場合1500万円ですが、確実に子や孫の教育に関連するものに充てることができます。

いずれの場合も、金融機関等の口座に一括して上記の資金を入金し、使途について金融機関に領収証など提出する必要があります。教育資金の場合は、子・孫が30歳に達する日に終了し、使い残しがあると贈与税が課税されることになります。ですから残らないよう計画的に充てていくことが必要です。

平成25年4月1日〜平成31年3月31日までの暫定的なものとなっていますので、利用を考えている場合には早めに対応してことが必要です。教育資金には学校以外の学習塾も可能ですが、500万円までと充てられる金額が決まっています。

なお、金融機関によっては、お金の預入・払い出しの際に手数料がかからないところ、領収証はあとから提出するのでも可能なところ、必要な金額を直接金融機関から学校に振り込んでもらうこともできるところなど、違いがあります。ある程度長いお付き合いになるので、サービスをみて、利用しやすいところにするのがよいでしょう。

⑵ 結婚、子育て資金の一括贈与

結婚、子育て資金の一括贈与では、贈与を受ける側が20歳〜50歳未満であることが必要で、1000万円まで(うち結婚関係は300万円まで)非課税になります。

この場合も、金融機関等の口座に一括して上記の資金を入金し、使途について金融機関に領収証など提出する必要があります。子や孫が50歳に達する日に口座などは終了します。使い残しがあれば教育資金の場合と同じく贈与税がかかります。

終了時に贈与者が死亡していると、使い残しがあれば相続財産に加算される点は注意が必要です。こちらの方も平成27年4月1日〜平成31年3月31日までの暫定的なものになっています。

対象としては、不妊治療にかかるもの、産後ケアに要する費用(ただし条件あり)、入園料、保育料はもちろん、入園時の検定料といったものも入る、割と広く使えるものになっています。

次回は不動産に関する相続対策について取り上げたと思います。

 

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