Topページ > 相続 > 弁護士が教える、財産を守る合法的な相続税対策とは(その2)
公開日:2017年4月11日

前回は、事前に相続税対策をするにあたってまず行うべきこと(資産の棚卸など)から始まり、生前対策としての暦年贈与、相続時精算課税の制度を取り上げました。今回は同じ生前贈与でも、マイホーム購入などで役立つ制度についてお話します。

前回のコラムはこちら:弁護士が教える、財産を守る合法的な相続税対策とは

贈与税の配偶者控除

亡くなった人とともに暮らしてきた配偶者にとってみると、余生を安心して送るにはまず住むところのとその後の生活をする上で必要なお金の確保が必要になってきます。

住まいについては、贈与税の配偶者控除が利用できます。これは非課税枠が2000万円になっています。

この2000万円の非課税枠とは別に、贈与の年間の基礎控除額110万円を使うこともできますので、トータルで2110万円が非課税となります。

しかも、この配偶者特例は、前回お話しました相続時精算課税のように、相続開始前3年以内の贈与を相続財産に加算するというのが適用されません。ですから、たとえば太郎さん(相続人が妻・子2人)が6000万円の資産があり、亡くなる1年前に妻に2000万円を贈与していたとしても、この2000万円は相続財産に加算されないことになります。この制度を使うには次の要件を満たす必要があります。

  • 結婚期間が20年以上の夫婦の間での贈与であること
  • 贈与財産は、贈与を受けた人が住むための不動産または住む不動産を取得するためのお金であること
  • 取得する日の翌年3月15日までに住んでいて、その後も引き続き住む見込みであること
  • 同じ夫婦の間で配偶者控除の適用を受けていないこと

最初の結婚期間20年の要件は、贈与の時点で20年以上必要ですので、戸籍謄本でしっかり確認してから贈与をいつにするか決めましょう。

また、贈与したものが不動産であるとき、評価は相続税評価額になります。現金で贈与するとその金額のままで評価されてしまいますが、土地や建物である場合は、相続税評価額は売買の相場の6割から8割と低く抑えられるので、不動産にした方がメリットがあるといえます。なお、贈与税が課されなくても、必ず税務署に申告する必要がありますので、注意しましょう。

住宅等取得資金の非課税特例

平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)から住宅新築・取得や増改築などの費用に充てるためのお金をもらったときは、一定の要件を満たすと非課税限度額の金額まで贈与税が非課税となるものです。暦年贈与の場合は基礎控除とは別に、また相続時精算課税の場合は2500万円の非課税枠と別に非課税になる(つまり併用できる)というものです。

また、相続が発生したときに生前贈与として加算されるということもありません。この制度を使って金銭の贈与を受けると、控除される金額が大きくなる上、住宅ローンの負担を軽くできる点が有利といえます。ただ、この制度は何度かの改正により内容が複雑になっているため、適用を考える場合は注意する必要があるでしょう。

この制度の適用を受けるには(贈与を受ける人の要件)

  • 贈与を受けたときに贈与者の直系卑属(子・孫など)であること
  • 贈与を受けた年の1月1日に20歳以上であること
  • 贈与を受けた年の所得合計が2000万円以下であること
  • 自分の配偶者や親族など特別の関係がある人から住宅用家屋の取得をしていない、そういった人との請負契約で新築等していない
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を使って住宅用家屋の新築などすること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家に居住を開始し遅滞なく居住するのが確実であることなどの要件を満たす必要があります。

ですから、たとえば婿が妻の親から住宅を建てるにあたっての資金の贈与を受けたとしても、直系尊属からの贈与ではないため非課税の特例は受けられません。

あるいは不動産自体の贈与を親から受けた、という場合も「居住の用に供する家屋の新築…などの対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合」 といえないので特例の適用は受けられないことになります。

また、新築または取得する不動産についても要件が定められています。

ちなみに新築または取得の場合の要件は、

  • 新築または取得した住宅の家屋の登記簿上の床面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下で、家屋の床面積の2分の1以上に相当す る部分が居住用であること、とされています。

この場合も贈与税の申告は必ずしておく必要がありますので忘れずに行いましょう。

次回は、教育費関連などに役立つものとして〜教育資金の一括贈与・結婚、子育て資金の一括贈与について取り上げたいと思います。

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