Topページ > 相続 > あとでトラブらない、親からの相続準備(中編)
更新日:2017年3月18日

前回のコラム: あとでトラブらない、親からの相続準備(前編)

実際に遺産分割が始まったら

遺言書の有無を確認しよう

親(被相続人)が、遺言書を作成している場合があります。公正証書遺言の場合は、その作成には立会人が2人以上必要であり、公証役場で作成されるので、存在が不明になる事は少ないですが、自筆証書遺言の場合は、秘密裏に作成している場合があります。遺言書を置いてある場所としてよく耳にするのが、仏壇周りや本棚などにある愛読書の間です。遺言書が見つけたら、開封せずにただちに家庭裁判所に持参に検認手続きを行います。

相続人を確認しよう

遺産を処分するには、相続人全員の合意が必要である事は先に案内しましたが、そのためには相続人が誰であるかを確認する事が必要です。遺産分割や検認の手続きには、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本等や相続人の戸籍謄本等が必要になります。被相続人が再婚者の場合は、前の配偶者との子供や、婚姻関係になかった間に生まれた子供も相続人になります。相続人である兄弟姉妹が先に死亡し、その人に子供がいた場合(甥、姪)は、相続人を代襲する事になります(代襲相続人という)。

遺産分割協議を行う場合、相続人全員が一同に集まる必要はありません。相続人が遠方や海外居住者の場合には、集まる事は極めて困難です。そこで例えば相続人の1人が遺産分割協議書を作成し、それを郵送等で他の相続人に確認、署名や押印して貰い最終的に全員の合意を取り付ける事も可能です。遺産分割協議書は、民法では形式などの規定はありませんが、金融機関等における名義変更や、不動産の相続登記を行う場合などに必要になります。遺産分割協議書に押印する印鑑は印鑑登録されたものを使用する事が求められます(※2)。

自分の損得ではなく、相続人全員にとってのベストを考えよう

遺産分割協議の場では、相続人はそれぞれの思いを持っています。そのため全員が100%納得する合意が得られる可能性は低いと考えておいたほうが良いでしょう。また平等に分ければいいというのも意外と難しいものなので、誰もが少しずつ妥協をし、相続人全員がその後も親族関係を継続していけるような、遺産分割ができるように心がけましょう。また遺産分割協議で忘れがちなのは、被相続人の法事など、この先にかかる費用について、誰が負担するのか、または過去に負担してきた者がいる場合にはそれを考慮するなど、現実にある遺産の処分だけでなく、未来にかかる費用や、過去にかかった労力などの評価も含めて協議を進めましょう。場合よっては、利害関係がない第3者に立ち会ってもらう事も検討した方がよいでしょう。

なお、遺産分割協議書が完成したら、それを使って金融機関等や法務局などで名義変更を行う等の相続手続きが始まります。

エンディングノートと遺言書の違い

遺言書の効果

遺言書とエンディングノートの大きな違いは、有効な遺言書がある場合、その遺言書に従って遺産分割手続きを進める事ができる法的効力があります。具体的には、誰にどの財産をどれぐらい相続(遺贈)するかの相続分の指定や、子供の認知や相続人の廃除(その取消)(※1)などの身分、財産の分割禁止の指定、遺言の執行に関する事が記載できます。なお、遺言書では相続人以外の人に相続財産を遺贈させる事ができます。

エンディングノートでできること

一方エンディングノートでは、遺言書のような法的な効力がありませんが、家族への思いを伝える事ができます。具体的な内容は、エンディングノートによってさまざまですが、例えば葬式の内容や出席してほしい人の指定、遺言書には記載できない趣味の物やペットなどの行く末について、法事の開催やお墓、遺骨について、家族への思いなどがあります。

遺産分割協議をする場合には、相続人全員が事前に目を通しておいたほうがよいでしょう。

エンディングノートの注意点

ラストプランニングノート、シニアライフノートといった言い方をする場合がありますが、ここではエンディングノートで統一します。

エンディングノートは発行者の意図によってその記載項目や内容が異なっている事があります。例えば発行者が金融機関の場合は、金融資産の処分等が中心に、葬儀社の場合は、葬儀の方法や手続きに関する事に重きを置かれています。エンディングノートを作成する場合や遺族が読む場合には、発行者が誰であるかを意識しておいた方がよいでしょう。エンディングノートの本来あるべき姿は、死後についての話だけでなく、これまでその人が生きていた人生の振り返りや、死ぬまでにやっておきたい事、家族や友達への思いを、時間をかけて綴るものだと私は考えています。また、親が全ての項目について記載しているとは限りません。いざ項目を埋めようとすると、色んな思いが頭をめぐったり、思い出せない事があったりして、手が止まる事が多々あります。また一度記載した項目も後に修正する事もあります。それでも、記載している箇所はその時の親の思いなので、しっかり受け止めるようにしましょう。

次回は、「親から相続で相談を受けた場合」「相続問題は誰に相談すべきか」をご案内いたします。また今回のテーマで出てきた遺産分割協議書及び遺産分割手続き、遺言書等については、別テーマでご案内する予定です。

※1:相続人の廃除とは、被相続人が生前に相続人からの虐待や侮辱を受けた事により、家庭裁判所で手続きする事で相続権を無くす事です。なお一度廃除しても遺言等で後から取り消す事もできます ※2:海外居住者の場合は、現地の日本大使館等にてサイン証明の手続きする事で印鑑登録に代わる事ができます

【連載】
あとでトラブらない、親からの相続準備(前編)
あとでトラブらない、親からの相続準備(中編)
あとでトラブらない、親からの相続準備(後編)
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