Topページ > 相続 > あとでトラブらない、親からの相続準備(前編)
公開日:2017年3月7日
更新日:2017年3月18日

みなさんは、相続のトラブルといえば、遺産分割で相続人同士が言い争う事をまず思い浮かぶと思いますが、例えば、被相続人が生前に潜在化していたものが発覚したり(隠れ借金や隠し子など)、財産が容易に分割できる状態でなかったり、相続税の納税資金が不足していたり、不十分な遺言書を残したり、葬式や法事の準備で家族が揉めたり…、トラブルの原因はさまざまです。大小の違いがあれどトラブルにならない相続なんて無いといっても過言ではありません。

今回は、親からの相続準備をテーマに、トラブらないために、相続人である子供は、何を準備しておくべきか、そんなテーマを3回に分けて取り上げたいと思います。今回は「相続のルール」「相続人の権利と義務」をご案内します。

まずは相続のルールを知ろう

まず相続とは?

相続とは、被相続人(死亡した人)の権利義務などの財産(相続財産または遺産)を、配偶者や子供などの相続人に引き継ぐ事をいいます(※1)。相続人が複数いる場合、相続財産は相続人全員の共有財産となります。そのため相続開始後は、相続財産を勝手に処分する事はできません。処分には相続人全員の合意が必要になります(合意分割という)。

税金の申告期限

相続人には、税金の手続きを行う義務があります。まず相続開始後(※2)4ヶ月以内に準確定申告が必要です。準確定申告とは、被相続人の所得税にかかる手続きです。そして相続税については、相続開始後(※2)10ヶ月以内です。但し相続税上の課税価格の合計が、基礎控除額以下の場合は、原則として相続税の申告の必要はありません。相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する事ができます。例えば相続人が母と子供2人の場合の基礎控除額は4800万円になります。相続税についてはいずれご案内いたします。

遺言書がある場合

もし被相続人が遺言書を残している場合には、遺言書に沿った遺産分割手続きを行う事になります(指定分割という)。まず遺言書を発見した場合には、ただちに封を開けないで、家庭裁判所に持参し検認の手続きを行います(公正証書遺言の場合は、検認は必要ありません)。。検認とは、相続人に遺言書の存在を知らせ、遺言の内容を明確にする手続きです。なお、遺言書があったとしても、相続人全員の合意があれば、遺言書どおりに処分しない事もできます。

遺産分割協議が上手くいかなかったら

相続財産を分ける話し合いの事を遺産分割協議といいますが、遺産分割協議で合意する事ができなった場合は、家庭裁判所で調停を行う事ができます。調停をもってしても合意しなかった場合は、裁判所から審判が下されます。なお、調停や審判になった場合、遺産の割合などは、民法で定められた法定相続分に沿ったものになるのが一般的です。

相続人としての権利と義務を知ろう

相続放棄の宣言はいつまで

相続が開始されると、相続人は3ヶ月以内に相続に関する意思表示が必要になります。意思表示をしなかった場合は、相続するものと見なされます(単純承認という)。意思表示には、相続人としての権利を放棄する相続放棄と、プラスの範囲内のみマイナスの財産(借金等)を相続する限定承認の2種類があります。いずれも手続きは家庭裁判所で行います。また相続放棄は1人で行う事ができますが、限定承認は相続人全員で行う必要があります。

相続財産の受取る割合(法定相続分)

遺産分割する場合の割合について、民法の定めでは、子供は1/2を人数で分ける事になり、残りの1/2は配偶者になります。但し、遺言書どおりに分割する場合や、遺産分割協議で全員の合意があれば、法定相続分に従う必要はありません。

民法では生前に被相続人から贈与を受けた者(特別受益者)いる場合は、その贈与分も法定相続分に含める事になっています。また被相続人の財産形成や看護・介護等を行った等で寄与した場合には、寄与分として法定相続分とは別で遺産を受取れる事があります。

遺留分

遺産には、遺留分と言われる相続人が本来受取ることができる権利があります。遺留分は原則として法定相続分の1/2になります。つまり子供は法定相続分の1/2に遺留分の1/2を乗算した1/4が遺留分になります。もし遺留分が侵害されていると知った場合には、それを取り戻す事ができます(遺留分減殺請求権という)。但し、、遺留分が侵害されている事を知った日から1年以内に行使しないと取り戻す事ができなくなります。次回は、「遺産分割が始まったら」「エンディングノートと遺言書の違い」についてご案内します。

【連載】
あとでトラブらない、親からの相続準備(前編)
あとでトラブらない、親からの相続準備(中編)
あとでトラブらない、親からの相続準備(後編)
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※1:子供がいない場合には、次の順位として直系尊属(被相続人の親、祖父母)と配偶者、直系尊属が居ない場合は、被相続人の兄弟姉妹と配偶者が相続人になります。
※2:厳密には相続の開始を知った翌日から4ヶ月または10ヶ月以内が申告・納付期限になります