Topページ > 保険 > 生命保険の手数料開示は、契約者にとって本当にメリットになっているのか?実態に迫る
公開日:2017年4月25日

生命保険を選ぶ時、乗り合い代理店を利用する人が増えています。共同通信によると、代理店に保険会社が支払っている販売手数料を開示するよう、金融庁が求めたことが、2017年2月3日にわかりました。ねらいは顧客保護。生命保険会社からの手数料の高い商品を優先する代理店の勧誘から、顧客を守ろうというものです。手数料が開示されることのメリットはどのようなものでしょうか。

生命保険の乗り合い代理店とは

「ほけんの窓口」「保険クリニック」「保険見直し本舗」など、業界大手の代理店なら、ご存知の方も多いでしょう。乗り合い代理店とは、複数の保険会社と代理店契約を結んでいる、保険代理店のことです。顧客側からすれば、複数社の生命保険の比較検討がワンストップで可能なため、とても便利な販売チャネルとして、すっかりメジャーな存在になりました。

代理店が保険商品を販売すると、保険会社から代理店に手数料が支払われます。手数料は一律ではなく、保険会社によって、また保険商品によっても変わります。手数料の高い保険商品は、代理店にとってメリットが大きくなりますが、顧客のニーズより優先されることがあってはなりません。今回の金融庁の求めは、この点を問題視したものになります。

「手数料が高い=悪い保険」ではない

手数料の元は契約者が支払う保険料です。そもそも保険料とはどのように決まるのでしょうか。契約者の支払う保険料を決めるのは、3つの基礎率です。すなわち、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」です。

予定死亡率は、将来の保険金を支払う確率のことです。死亡率が高いと見込めば、保険料は高くなります。予定利率は、保険会社が集めた保険料を、支払いまでに運用する利率のことです。運用がうまくいけば資金が増えるので、予定利率が高ければ保険料は下がります

予定事業費率は、契約にかかる費用や、保険会社を運営する費用など、経費の割合です。経費が安く抑えられれば、その分契約者に還元できるので、予定事業費率が下がれば、保険料も下がります。

保険会社が代理店に支払う手数料は経費にあたりますので、手数料が低ければ保険料も安くなります。しかし、保険料は手数料だけで決まるものではないので、手数料が高いからと言って悪い保険とは限りません。運用利率が高ければ、手数料が少々高くても保険料は高くならないこともあるので、手数料だけで保険を判断するのは早計です。

手数料開示をした銀行窓販では

2007年12月、銀行窓口での保険販売が全面解禁になりました。ここでも銀行が保険会社から受け取る手数料が問題視されました。顧客ニーズを無視し、手数料が高く、利幅の大きな保険商品を優先して勧めることが懸念され、銀行窓販の保険の手数料は、2016年10月から開示されました。手数料が明確になることで、顧客本位のセールスが促進されると同時に、割高な手数料の引き下げにもつながると期待されていましたが、現実にはなかなかそうはいかないようです。

生命保険の販売には、顧客のライフプランを聞き取り、丁寧なコンサルティングが必要です。特に高額な死亡保障には欠かせません。保険の説明にも時間がかかるので、手数料は下げることが難しいという事情があります。

また、手数料の開示が進んだとは言え、低い印象になるようにしているだけのケースあります。たとえば、販売手数料を契約初年度と2年目以降に分けて設定し、初年度は4%、2~5年目は毎年0.55%などと記載しているパンフレットもありました。こうした小手先の変化は、知識のある顧客ならすぐに見破れるものですが、それでも銀行窓販において、顧客の商品選択に大きな変化はなかったようです。手数料よりも、自分のニーズにあっているかどうかを重視して保険を選ぶ人が着実に増えているからではないでしょうか。

保険選びの王道は、ライフプラン作りから

保険を検討する時、正しい選択のための判断材料が増えることは良いことでしょう。また、情報を開示することで、代理店側が顧客ニーズを無視する提案を予防できる効果もあるでしょう。手数料に関連して損をするのは、代理店の提案が手数料の高い保険商品に偏ってしまうことなので、それを避けるためには代理店が取り扱っている全ての保険商品を比べれば確実です。しかし実際には、「代表的な」とか「お勧めの」とかの理由で、30社扱っているのに2,3社の保険しか提示されないことがあります。30社を見比べるのは大変なので、顧客ニーズを聞き取った代理店の担当者が絞っておいた、というのが代理店の理屈ですが、そんな時に手数料が分かれば、手数料が高いから提案している可能性を判断する一助になります。賢い契約者であれば、代理店側の提案を鵜呑みにしてはいけません。手数料が低くても、ニーズにあった保険があるかもしれないのです。ぜひ、全ての保険の中から選んで、乗り合い代理店ならではのメリットを活かしましょう。

しかし本当に保険選びに大切なのは、ニーズを明確にすることです。そのためには、ライフプラン作りが欠かせません。ライフプラン全体から見て、人生のリスクを考え、どのような保険が必要かを見極めることが最も重要です。それがはっきりとすれば、同じ条件で複数社の保険料を比べればよいので、おのずと保険商品も決まります。

ライフプランは節目ごとに見直すもの。一度作って終わりではありません。新年度を迎えたこの時期、ライフプランのことも考えてみてはいかがでしょうか。

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