
顧客は何をもとめているか?
J.D.パワー2017年生命保険契約満足度調査の顧客満足度ランキングを見ると、契約時の満足度はソニー生命が顧客満足度1位となっています。そして、2位がプルデンシャル生命です。
ソニーの創業者である盛田昭夫氏が日本の保険業界を変えたいという思いから作られたのがソニー・プルデンシャル生命でした。ソニー生命とプルデンシャル生命は原点が一緒で当時の保険業界では珍しいライフプランナー制度というコンサルティング営業を始め、会社が2つに分かれた現在でも2社ともそのスタイルを貫いています。
その2社が1位と2位を占めるということは、お客様は個別のコンサルティングを求めているという事になります。
つまり、みんなと一緒ではなく自分に合ったものが欲しいという事です。昔に比べ、働き方やライフスタイルが多様化していますのでひとりひとりのニーズが違うのは確かです。例えば30代独身の男性であれば遺族への生活保障は不要なので、お葬式代となる最低限の終身保険と医療保険を準備したい、40代男性(子供あり)であれば、遺族への生活保障を準備するため収入保障保険と医療保険で備えたいなど、自分のライフスタイルに合った保険を選択する時代になりました。
義理・人情から納得・満足へ
戦後、戦争未亡人の仕事確保のために国策として生保の外交員に女性を雇用してきた経緯があります。私の子供の頃、家に毎月集金に来ていた保険会社の外交員の女性を「戦争でご主人を亡くされかわいそうな人なのよ。」と祖母に聞かされた事があります。情の熱い日本人は力になれたらという気持ちで保険加入していたようなイメージがありました。日本の成長期でお給料がどんどん上がる時代であれば保険契約は内容より義理・人情で成り立っていましたが、経済が停滞していてお給料の増えない現代では自分の生活に目を向けて内容や保険料をしっかり気にする傾向になってきたのです。つまり、現代では納得が満足につながるという事です。
保険商品の現在の傾向は
少し前までの保険商品の選択は、死亡や入院日数や入院費用に焦点があてられていました。最近はどちらかというと、死亡より生きるため、入院費用より入院後の生活に焦点があてられつつあります。これは、独身者の増加や少子化により頼れるのは自分、自分が倒れたら助けてくれる家族がいないという家族構成の変化からきているように思われます。それから、医療の発達によりこれまで助からなかった病気やケガが障害を抱えながらでも生きていけるということもあるようです。入院費はむしろ高額療養費でなんとかなるという意識が普及してきてもいます。
入院から在宅へ
今後、益々少子高齢化の波は押し寄せてきます。病床や介護施設と人材が足りなくなります。そこで、厚生労働省は在宅医療や在宅介護の推進を計っています。
私の母が大腸がんで入院していた時も退院のタイミングがあまりにも早くて驚きました。私も仕事があるため、家でのガーゼの取り換えや制限ある食事の提供ができないので、もう少し病院にいた方が安心だと病院に申し出ると、「入院を待っている患者さんがたくさんいらっしゃるので無理です。」と断られました。そこで、しばらくご近所の方にお世話をしてもらったのです。今後、在宅医療になるとお手伝いの人を頼まなくてはいけないケースも増えてくるのではないでしょうか?
そして、病気の先に待っている介護にも備えるニーズが高まってくると思われます。そこで、保険も入院日数ではなく一時金、在宅療養や介護に備える保険商品の充実が計られるのではないでしょうか?もしかしたら、保険金ではなくサービスを受けとれる現物支給の保険も今後出てくるかもしれませんね。
まとめ
保険会社によって力を入れている保険も違いますし、販売スタイルも違います。そこでどこが自分にとって満足なのかの判断は難しいものになります。自分の保険への満足度を上げるカギは担当者です。より高い人間性、スキルを持って「意向把握」「情報提供義務」を果たせニーズに合った保険プランニングをしてくれる担当者どうかの見極めが重要になってきます。そして、保険は加入時よりも保険事故が起きた時の担当者のサポート力がより満足度を高める結果につながっていくのだと思います。
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