Topページ > ローン > 繰上げ返済は本当にお得か、住宅ローン控除額から見る効率的な返済方法
更新日:2017年3月8日

「貯蓄をしても増えないから、住宅ローンの返済を優先しようと思って。」
マイナス金利政策市場の中、この様な声を、最近よく耳にします。確定申告のこの時期だからよく分かる話だと思いますが、今回は繰上げ返済と住宅ローン控除の関係性を、解説しましょう。

住宅ローン控除額は「ローン残高×1%が10年間継続」

まず住宅ローン控除の仕組みをおさらいしましょう。正式名称は「住宅借入金等特別控除」という、お堅い名前です。名称の中に「等」とついているのは、リフォームローンなどもこの枠に含まれているからでしょう。通称「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」などとよばれています。

申告年の12月31日現在の「借入金残高×1%」が所得税額から控除され(差し引かれ)ます。上限額は通常年間40万円で、一部の優良住宅などの場合は50万円になります。また控除期間は10年が限度です。

「所得額」から控除されるのではなく、「所得税額」そのものから控除されるので、減税効果が高い特徴があります。しかもその額が十万円単位の場合が多い為、他の税額控除(ふるさと納税で有名な「寄付金控除」や「配当所得」)を差し置いて、住宅ローン控除を使うだけで所得税がゼロになる、という人も、少なくありません。絶大な節税効果のある控除を国が認めている背景には、一部の都市を除いて、不動産価格の上昇が過去ほど見込めない時世、この策無くしてはもはや住宅購入をわれわれサラリーマン世代は考えられない状況があるからでしょう。景気対策の一環としては充分に認知された以上に、もう無くすことの出来ない控除になりつつあると、筆者は感じます。

借り換えをしない場合と比較したケーススタディ

さて、表題の解説に入りましょう。

  • 借入金4,000万円
  • 貸付利率1.08%
  • 35年固定ローン
  • 返済開始月は1月

住宅ローン借り入れをして毎年いくらの住宅ローン控除が使えるか、図Aをご覧下さい。

月あたりの返済額は114,412円ですが、そのうち利息支払いに充てられる額を除いたものが、ローン残高から差し引かれます。その年の12月末時点の各年残高×0.01(100円未満切捨て)が右の赤い数字になるので、10年間の合計節税額は340万円以上にもなるのですね。
次に図Bをご覧下さい。

ローンの繰り上げ返済を、住宅ローン控除が使える10年間のうちに行った場合の例です。

繰り上げ返済は、当初ローンの支払開始月を起点に、「何月」に行ったかによって、残高がこの表通りにはならない事もあります。図Bのローンの返済初月は1月で、各年の繰り上げ返済月はボーナスの多い12月としました。住宅ローン残高が減ると、それにともなって控除額も減るのが分かりますね。図Aと比較すると、10年間の節税額は約19万円ほど減っています。他に控除がなかった場合、単純に19万円分、納税額が増える方もいるという事です。加えて11年目のローン残高も、実際の繰り上げ返済額500万円以上に減っているのがわかります。この500万円にかかる利息が不要になったため、毎月の支払額114,412円から、その分元金返済に充当された結果です。

最後に図Cをご覧下さい。

Cの図は、住宅ローン控除期間である10年を過ぎた直後の、ひと月目(11年目1月)に、500万円を一気に返済した推移です。10年間は住宅ローン控除を最大限に活用し、繰り上げ返済しなかったAと同じ控除枠を使う事が出来ました。ただ、Bのケースと比べて、11年目の元金残高は+149,330円です。Bで繰り上げ返済による住宅ローン控除枠の減額分192,900円と比較すると、所得額にもよりますがCの様に10年を過ぎた直後の返済の方が、節税効果と減債効果のバランスは良いかもしれませんね。

ただし、ここでは繰り上げ返済手数料など、返済条件の変更に伴う事務手数料などは、考慮していません。メインバンクなどは方法にもよりますが、数万円の手数料がかかるケースも見受けられます。

「繰り上げ返済」よりも「借り換え」?

今回は「繰り上げ返済」について解説しましたが、もっと効率の良い方法もあります。この金利市場ですから、わずか3~4年前の借入であっても「住宅ローンの借り換え」を行い、貸付利率を下げる事ができれば、総額300万円~1,000万円分、利息の支払いを減らす事が出来るかもしれません。ローンの残り支払期間が長い人ほど、その効果は高いので、金利が1%台後半以上の人はこの機会に、「借り換えが可能か」専門家に見てもらうべきでしょう。

マイナス金利市場が、いつまでもそう続くとは考えにくいものです。次回機会があれば、借り換えについてもご一緒に勉強しましょう。

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